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禁煙外来医師/健康や家族のためにたばこのリスクを知り禁煙の一歩を

禁煙外来医師/健康や家族のためにたばこのリスクを知り禁煙の一歩を

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2019.8.27(火)

鮫島 加奈子さん
鮫島病院(鹿児島市)

たばこをやめたい人が診察や服薬で禁煙する禁煙外来。2006年から条件が合えば健康保険で禁煙治療が可能となり、注目された。

2020年4月からは健康増進法の受動喫煙対策で、指定された喫煙所以外のほとんどの場所でたばこが吸えなくなる。禁煙外来の門を叩く人もいるだろう。

健康を脅かす存在 百害あって一利なし

大腸肛門科の専門病院で知られる鮫島病院(鹿児島市加治屋町)は、08年に禁煙外来を開設。禁煙治療経験の医師、専任の看護師、敷地内禁煙など、保険適用となる医療機関の基準を整えた。

「たばこは百害あって一利なし。吸わないほうがいい」。専門とする肛門科手術を執刀しながら危惧の念を抱いていた。「外科腹部手術の際に全身麻酔は欠かせません。たばこを吸っていると麻酔が難しい」。

呼吸器系への合併症などリスクが高く、「病院によっては手術のために禁煙が条件のところも。入院前に禁煙外来を訪ねる患者さんもいます」。

診察で強く実感 ニコチン依存症の怖さ

たばこに含まれるニコチンは依存性が高い。「たばこの害なんて、吸う本人も分かっています。それでもやめられないのが依存症の怖さ」。

健康保険を使って治療を受けるには、「患者自身が禁煙を望んでいる」、「ニコチン依存症である」、「過去の禁煙外来の保険診療から1年が経過している」など、いくつか条件があり、それらに適合すればガイドラインに沿った治療が始められる。

「健康や家族のために、たばこをやめようと思って病院に行く。その一歩を踏み出せることが立派なんです」。来院した患者に必ず伝える言葉だという。

自身と家族の健康 守るためにできること

通院は3カ月の間に5回で、多くの患者が処方薬を服用し禁煙に挑む。肝心なのは受診を完了すること。

ニコチン依存は薬で抑えられるが、食後の一服など習慣を改めるため、吸いたくなる状況を聞き、たばこの臭いがする場所を避けたり、口寂しいときは冷たい水を飲んだり、手持ち無沙汰になったら掃除を始めたりするなど別の行動を促すカウンセリングを行う。

「薬の作用でたばこを吸わなくても平気になります。禁煙できたと誤解し、7割の人は通院をやめてしまうんです」。失敗するのはこのパターンがほとんど。成功しても、1年後に再訪する人もいる。

「禁煙できたから大丈夫。そうして“もらいたばこ”で1本吸ってしまうことが、再喫煙につながるんです」。家族が禁煙を望んで受診を勧めるケースもあるが、やめる意志があっても難しいのが禁煙だ。

吸う本数を減らしながら禁煙を意識する人もいるが「初めからゼロにしなければ難しい」。電子たばこも「別の有害物質があります」と、穏やかにいさめる。

喫煙者に伝えたいのは「せめて周りの人のために、車内や飲食店など人前では吸わないで」。禁煙の成功と挫折を見届けてきた医師のまなざしは、健康を強く願う慈愛に満ちている。

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