電子たばこの関連が疑われる肺疾患が急増中、違法な成分を含む製品が原因か
電子たばこの関連が疑われる肺疾患が急増中、違法な成分を含む製品が原因か
https://gigazine.net/news/20190823-vaping-cause-pulmonary-disease/
2019年08月23日 14時00分
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が、アメリカ国内で重度の肺疾患の症例が急増していると報告しています。肺疾患急増の直接的な原因は不明なものの、すべての患者に共通していたのが電子たばこの使用だったことから、CDCは電子たばこによる健康被害の可能性を示唆しています。
CDC, FDA, States Continue to Investigate Severe Pulmonary Disease Among People Who Use E-cigarettes | CDC Online Newsroom | CDC
https://www.cdc.gov/media/releases/2019/s0821-cdc-fda-states-e-cigarettes.html
Vaping-linked lung disease cases jump from 94 to 153 in 5 days, CDC says | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2019/08/vaping-linked-lung-disease-cases-jump-from-94-to-153-in-5-days-cdc-says/
問題となっている肺疾患は呼吸困難、息切れ、胸痛を含む症状を訴えるというもので、主に若者を中心に症例が報告されています。また、一部ではおう吐・下痢・疲労などの胃腸疾患も報告されているとのこと。なお、この症例での死亡例は確認されていません。
CDCによると、2019年6月28日から同年8月20日まで、アメリカ国内の16の州で149人以上が「重度の肺疾患の可能性がある」と診断されたとのこと。6月28日から8月15日までに報告された患者数は94人だったにもかかわらず、その後5日間で一気に50人以上も増加したそうです。
CDCによると、報告されたすべての症例で電子たばこの使用が認められたとのこと。報告書で指摘されている電子たばこはいわゆる「Vaping」と呼ばれるタイプで、調合した液体(リキッド)を加熱し、その水蒸気を吸うものです。Vapingタイプの電子たばこは従来のたばこよりも有害な成分や副流煙が少なく、減煙・禁煙にも効果があるという主張もあることから、近年は利用者が増えつつあります。
そんな電子たばこを利用していた患者の多くがテトラヒドロカンナビノール(THC)、すなわち大麻(マリファナ)の有効成分を含んだリキッドを使用していたことを医療従事者に証言しています。THC自体はもちろん法規制されている成分です。
2019年7月に肺疾患が認められたウィスコンシン州在住の26歳男性は、National Public Radioの取材に対して、「路上で購入したTHC含有リキッドを電子たばこで吸引した後、呼吸困難に陥った」と証言しています。男性の血中酸素濃度はわずか10%にまで低下し、一時は意識不明の状態だったとのこと。男性は「電子たばこのリキッドは必ず薬局で買うべきです。どこから来たのか分からないものを路上で買わないでください」と警鐘を鳴らしました。
ただし、特定の電子たばこ製品が共通して患者の間で使用されているわけではなく、電子たばこが確実に肺疾患を起こしたという証拠もまだ見つかっていないとのこと。CDCは「原因は特定できていない」と述べ、国の保健福祉省とともに原因究明に取り組んでいることを明らかにしました。
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