電子たばこ規制、業界大手に実は追い風
電子たばこ規制、業界大手に実は追い風
https://jp.wsj.com/articles/SB11588140412100604850204585575133128216758
電子たばこを巡る懸念が業界大手の財務状況に影響し始めている。規制強化は今や、各社に最善の利益となる。
手巻きたばこ用の巻紙「リズラ」や「ダビドフ」ブランドを擁する英インペリアル・ブランズは26日、9月までの通年の売上高と利益が予想を下回る見通しを示した。米国で電子たばこの販売が「著しく減速」したのが主な理由だ。電子たばこ「blu」を含むいわゆる次世代製品群の売上高は同期間に約50%増と、従来予想の半分の伸びにとどまるという。
この夏、電子たばこ関連の肺疾患を巡る報道を受け、消費者や小売業者の間で動揺が広がった。インペリアル幹部が引用した業界データによると、米国の電子たばこ販売数量は9月に減少となる可能性が高い。4月には13%増加していた。小売業者の発注は減少している。米小売り大手ウォルマートは今月、米国内の店舗で全ての電子たばこの販売を中止した。
この台風の目となっているのは、電子たばこメーカーのジュール・ラブズだ。同社株の35%を保有する米たばこ大手アルトリア・グループは25日、業績見通しを据え置いた。ただ、アルトリアは投資項目をこれに含めていないため、据え置きは実のところ安心材料とならない。同社は規制強化への備えとして、当局への対応経験がある幹部をジュールの新最高経営責任者(CEO)に指名した。
たばこ会社は依然として昔ながらのたばこが利益の大半を占めるとは言え、電子たばこや加熱式たばこ製品に関する悪いニュースが出れば株価は激しく変動する。インペリアルの総売上高に米国の電子たばこが占める割合はわずか1~2%だ。だが26日午前のロンドン市場で、インペリアル株は10%急落した。
投資家はこうした新製品について、衰退が著しい喫煙を巡るたばこ業界の打開策とみる。米国のたばこ販売数量は年間約5%ずつ減少している。米フィリップモリス・インターナショナルは従来型のたばこブランドに置き換わる製品の開発に60億ドル(約6500億円)余りをつぎ込んできた。同社は25日、アルトリアとの合併交渉を打ち切った。
米食品医薬品局(FDA)は電子たばこメーカーに対し、販売継続へ向け2020年5月までに承認を申請するよう要請した。各種ブランドを承認するか否かの判断には約1年かかる。
投資家は不確実性を嫌うが、規制強化は長期的にたばこ大手に追い風となるはずだ。承認プロセスには金も時間も掛かるため、米国の電子たばこ弱小ブランドはふるい落とされるだろう。ジュールのように若い消費者に人気の製品を持つ企業は、販売が禁じられるリスクが最も高い。
電子たばこの安全性に関しては、米国の人々の信頼は既に失われた。より厳格な規制は、信頼回復につながる唯一の道だ。
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