電子たばこ

 加熱式たばこは有効か

 加熱式たばこは有効か

https://www.topics.or.jp/articles/-/199913

 【質問】長年、たばこを吸っています。何度かやめようとしたのですが、やめられませんでした。今度、孫が生まれるのをきっかけにたばこを本気でやめたいと思っています。加熱式たばこはあまり害がないように聞いたのですが、本当ですか。加熱式たばこに変えて徐々にやめていこうと考えています。加熱式たばこにもいろんな種類があるようなので教えてください。

中瀬医院(徳島市富田橋1)中瀬勝則院長

 有害物質紙巻きと同程度 

【答え】家族のために禁煙するのはいいことです。

 日本の喫煙率は年々低下し、2017年の国民健康・栄養調査によると平均17・7%。たばこ離れは加速しています。

 また、加熱式たばこが急速に広がっています。加熱式たばこは、たばこの葉に直接火を付けるのではなく、たばこの葉を加熱してニコチンなどを含んだ蒸気を発生させる方式のたばこです。

 加熱式たばこの影響について、科学的に解明が進んでいます。国立保健医療科学院は含まれる有害物質を分析しています。

 確かに、ベンゼンや一酸化炭素は減少するものの、依存性物質であるニコチンや発がん性のあるホルムアルデヒドなどは紙巻きたばこと同程度検出されています。また、紙巻きたばこに含まれるその他の発がん性物質や、呼吸器・心血管系の障害、胎児の発育・脳の発達への障害を引き起こす有害物質が、加熱式たばこで一律に減少しないことが明らかになっています。

 最近の海外での研究で、加熱式たばこの蒸気に含まれる未知の有害物質により、慢性閉塞性肺疾患(COPD)が早期に起きる可能性も指摘されています。この病気は徳島県の死亡率が全国1位。対策が急務となっている肺のたばこ病の一つです。

 つまり加熱式たばこによる健康障害は紙巻きたばこよりも小さいとは言えません。発がん性物質には許容範囲がありません。少量でも使用しないことが大切です。

 5月31日は世界保健機関(WHO)が制定した世界禁煙デー。自分ひとりの意志で禁煙に挑戦するのはつらいです。あなたの意志が弱いのではありません。ニコチン依存症という脳の病気です。病気なのでもちろん治療薬があります。禁煙外来を受診し禁煙補助薬を用いると、吸いたい気持ちの8割は消えます。失敗を恐れず何度でも禁煙に挑戦しましょう。いつか必ず生涯禁煙者になれます。

 質問募集

 読者の健康に関する悩みに、県内の専門医がお答えします。病気、体調不良などの症状を詳しく書き、住所、氏名、年齢、性別、職業、電話番号を明記し、〒770-8572 徳島新聞社生活文化部「健康相談」係へ。Eメールはkurasi@topics.or.jpへ。紙上に住所、氏名、電話番号は掲載しません。

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医学博士の直言「加熱式タバコなら安全」なんてもう言わせない

医学博士の直言「加熱式タバコなら安全」なんてもう言わせない

https://ironna.jp/article/12533

2019/05/10

田淵貴大(医師・医学博士)
(内外出版社『新型タバコの本当のリスク』より)
 日本全国のコンビニエンスストアには、タバコ会社が作った加熱式タバコの広告看板が立ち並び、加熱式タバコのパンフレットがあふれている。
 ご存知だろうか、これが、世界の中で、日本だけで起きている現象だということを。2014年に日本とイタリアの一部の都市限定で加熱式タバコ、アイコス(IQOS)の販売が開始され、2016年に世界で初めて日本が全国的にアイコスを販売している国となった。
 そして、2016年10月時点で日本がアイコスの世界シェアの96%を占めた。ほとんど全てのアイコスは、ここ日本で使われている。すなわち、日本が新しいタバコ、新型タバコ、加熱式タバコの実験場になっているのだ。
 加熱式タバコに関する情報は、タバコ会社が提供するものしか出回っていない。そのため、多くの人はタバコ会社の言うことをそのままに受け止めてしまっている。実は、タバコ会社は意図的に、加熱式タバコには害がないと誤解させるようなプロモーション活動を行っている。
 それで、多くの人がまじめな顔で、「加熱式タバコにはほとんど害がないんですよね?」とか「加熱式タバコなら子どもの前で吸っても安全ですよね?」などと筆者に質問を寄せてくる。あまりにも多くの人が誤解させられている事態に筆者はショックを受けた。
 これまでの加熱式タバコに関する情報のほとんどは、タバコ産業が発表したものだ。「このタバコの新製品は、今までのタバコ製品と違ってクリーンで害が少ない」と。このタバコ会社からのメッセージは、決して目新しいものではない。タバコ会社は、これまでもずっとタバコを少し改変しては、同じメッセージを繰り返し発表してきた。過去には、タールの少ないタバコが発売された。人々はタールの少ないタバコのほうが安全だと信じたが、タールの少ないタバコも従来のタバコと害は変わらなかったのだ。
「glo」の記者説明会で発表するブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンのロベルタ・パラツェッティ社長=2017年5月30日午後、東京都千代田区
「glo」の記者説明会で発表するブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンのロベルタ・パラツェッティ社長=2017年5月30日午後、東京都千代田区
 現在のところ、アイコスやプルーム・テック(PloomTECH)といった加熱式タバコ製品が今までのタバコ製品よりも害が少ないという証拠はない。それどころか、加熱式タバコから出る有害物質など加熱式タバコの有害性に関して科学的に吟味された学術論文が次々に発表されてきているのだ。徐々に、加熱式タバコについて判断を下すための資料、科学的根拠、疫学データ等の情報が集まってきている。社会は成熟してきている。
 筆者の子ども時代や社会人になったばかりの頃の社会と比べて、現在の日本社会はルールや規範がより整い、成熟してきていると感じている。他人のタバコの煙を吸わされることによる健康被害の問題、すなわち受動喫煙の問題についても社会は一歩一歩改善してきている。
 子どもの頃に乗った新幹線の自由席は、タバコの煙が充満していて、煙たく、喉がイガイガして気持ち悪くなり、目も痛くなり、つらかった記憶がある。今でも一部、喫煙車両が運行されているが、禁煙の車両を選べば、タバコの煙に悩まされることは格段に少なくなった。まだまだ受動喫煙の対策は不十分だという声があちこちから聞こえてきそうだが、2018年には改正健康増進法が可決され、日本社会も受動喫煙を防止する社会へと確実に舵(かじ)をきっているのである。
 そんな中で、日本では新型タバコ問題が突如として現れた。タバコ問題に取り組んできていた我々が一切関知しない状態で、新型タバコである加熱式タバコのプルームおよびアイコスが日本で発売されたのである。単にタバコ会社は、新しいタバコの銘柄の発売を開始するのと同じように、いつも通りに財務省に加熱式タバコの発売を申請し、承認されただけなのだ。
 しかしその時点では、その加熱式タバコは世界中のどの国でもまだ発売されていない、紙巻タバコとはかなり違ったタイプのタバコであり、おそらく誰にもそれを簡単に許可すべきか否か判断はつかないはずのものであった。それでも日本では簡単に発売が開始されている。
 発売の承認にあたり、何らかの議論があったという話さえ聞こえてこなかった。おそらく今までにも販売されたことのある電子式のタバコ製品の一種ということで、簡単に認可されたのだろう。今までの電子式のタバコ製品と同様に、たいして売れない、と考えられたのかもしれない。
 ところが、今回の新型タバコはブレークした。これには財務省も驚いたことだろう。加熱式タバコではたばこ税の計算方法もうまくバランスがとられていなかった。売れるとなると税収の面で大きな違いが出てくる。すぐに税制は変更され、加熱式タバコという新しいカテゴリーが作られた。
 成熟してきていた日本社会にあって、突如として出てきた新型タバコ、タバコ会社も加熱式タバコがブレークするとは予想していなかったかもしれない。それは加熱式タバコのブレーク当初、しばらく品薄状態が続いたことからもわかる。
 新しい未知の問題に対して、我々はどのように取り組むべきなのか?誰も予想していなかった事態である。
 この日本での事態を受けて、加熱式タバコを禁止した国もある。しかし、日本は世界で初めて加熱式タバコの販売を許可した国であり、今更すぐに禁止とはできない。
加熱式タバコ(電子タバコ)。左からグロー(glo)、アイコス(IQOS)、プルーム・テック(Ploom TECH)=2018年6月8日、東京(早坂洋祐撮影)
加熱式タバコ(電子タバコ)。左からグロー(glo)、アイコス(IQOS)、プルーム・テック(Ploom TECH)=2018年6月8日、東京(早坂洋祐撮影)
 個人としても、社会としても、国としても、新型タバコと向き合わなければならない。もうすでに新型タバコは日本で社会に浸透しつつあるのだ。新型タバコにはメリットもデメリットもありそうだ。新型タバコ問題に限らず、世の中の問題のほとんどは、あるかないかのゼロイチではなく、程度の問題である。新型タバコに対してどのように対応するべきなのか、情報も経験も、議論も足りない。
 現在、世の中に出回っている新型タバコに関する情報は、タバコ会社の息がかかったものばかりだ。テレビ、新聞、雑誌、コンビニやタバコ店の看板、ありとあらゆるメディアで宣伝、広告、販売促進活動が積極的に展開されている。タバコ会社は、あたかも病気になるリスクが低いかのように伝わる広告メッセージを意図的に広めている。そのため、多くの人は、新型タバコにはほとんど害がないと誤解しているようだ。
 まずは、それは誤解だと伝えておきたい。

たぶち・たかひろ 医師・医学博士。大阪国際がんセンターがん対策センター疫学統計部副部長。昭和51年、岡山県生まれ。岡山大医学部卒。血液内科臨床医を経て、大阪大学大学院で医学博士取得。専門は公衆衛生学・疫学。平成29年、後藤喜代子・ポールブルダリ科学賞受賞。現在、主にタバコ対策および健康格差の研究に従事。

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「加熱式タバコ」が原因か~悩む「化学物質過敏症」患者らに話を聞いた

「加熱式タバコ」が原因か~悩む「化学物質過敏症」患者らに話を聞いた

https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20190504-00124718/

石田雅彦 | ライター、編集者

5/4(土) 9:07

 加熱式タバコの「煙害」に悩まされる人が増えている。実際、被害に遭っている人の話をよく耳にするようになってきた。化学物質過敏症の一種と考えられるが、因果関係を証明することが難しいため、多くの患者が戸惑っている。そこで、アイコス(IQOS)など加熱式タバコによる受動喫煙の健康被害について考えてみた。

加熱式タバコによる健康被害とは

 喘息や気管支炎のような呼吸困難、皮膚炎、頭痛、めまい、不安障害、腹痛といった症状が出て、原因もアレルゲンも特定できず、心療内科での治療も効果が期待できないといった患者がいる。これらの患者は化学物質に過敏に反応する化学物質過敏症という病気かもしれない。

 我々の周囲は多種多様な化学物質にあふれている。住環境から出るホルムアルデヒド、化粧品や洗顔洗髪剤、タバコ煙といった化学物質による化学物質過敏症に悩む人は、潜在的な患者を含めれば少なくとも70~100万人存在すると推定されている(※1)。

 化学物質過敏症は、ごく微量の化学物質でさえ発症するため、それによる健康影響を適正に評価できるよう説明がなされる必要がある。だが、環境中に存在するごく微量の化学物質による健康被害について、病態や発症メカニズムはまだよくわかっていない。治療機関や専門家も少なく、医師など医療関係者を含む家族や周囲の無理解に傷つき、心ない言葉を浴びせられて悩む患者も少なくないのが現状だ。

 最近、加熱式タバコの喫煙者が増えてきているが、紙巻きタバコに含まれる化学物質による化学物質過敏症の事例は多かった。では、加熱式タバコはどうだろう。加熱式タバコによる受動喫煙の害は確かにあるようだ。

 インターネット調査を使い、17~71歳の日本人男女を対象とした調査研究(※2)によれば、調査対象の8240人のうち977人(約12%)が他人の加熱式タバコの煙を吸ったことがあったと回答した。「それによる症状(喉の痛みや気分不良など)があったかどうか」についての質問項目では、977人のうち20.6%が喉の痛みを、22.3%が目の痛みを、25.1%の者は気分の悪さを、13.4%が身体の異常をそれぞれ訴えた。

 加熱式タバコの煙、喫煙者の呼出煙などを吸ったことがあると回答した人のうち、37%にいずれかの症状が認められた。特に10~30代の若い世代でこうした症状が多く、男性より女性でいずれかの症状を訴える人が多い傾向にあることがわかったという。もちろん、調査対象者は化学物質過敏症の患者とは限らない。

 また、症状も一過性でそれほど被害が深刻な事例ではないと考えられる。だが、このように加熱式タバコの影響を受ける人の中には、化学物質過敏症に苦しむ患者がいて、筆者はそのうちの何人かに取材させてもらった。

 飯島未知了(51歳)さんは、東京都中央区で「京橋屋カレー」というカレー店を営んでいる。2006年5月の開店以来、来客も受け入れる禁煙店にしていたが、数年前から化学物質過敏症の症状が悪化した。

 やがて、タバコ煙を身にまとった客の三次受動喫煙の被害に耐えきれず、2018年4月に会員制に変えたが症状は治まらない。そして2019年4月にとうとうテイクアウト専門にせざるを得なくなったという。

飯島さん「会員制に変えた頃までは紙巻きタバコと加熱式タバコの受動喫煙による症状だけだったんですが、最近になって芳香剤や柔軟剤などの物質にも反応して症状が出てきてしまったからです。最初は紙巻きタバコの有害物質によるものでした。徐々に反応する物質が増え、電子タバコ、最近多い加熱式タバコの物質に強く反応し、首筋や頬などの皮膚に痛みを感じ、頭痛や喉、手の痛みが起きて実際に首筋が紅く腫れ上がることもあります。私の実感では、加熱式タバコに特に有害な物質が含まれているのではないかと思っているんです」

 飯島さんは奥さんと二人で店を切り盛りしているが、外で吸った直後にタバコ煙を身につけて来店する喫煙者やタバコを吸わない人でも喫煙者が周囲に多くいる場合、三次受動喫煙で衣服にタバコ煙がついたままの来客に苦慮してきた。奥さんが来店した客一人ひとりに店の前で確認し、タバコの臭いのする客を断ってきたという。

飯島さん「それでも紛れ込む喫煙者の対応に困って仕方なく会員制にしたんです。しかし、長いおつきあいの常連客がタバコを吸わないと嘘をついていたことが発覚したり、来店時やSNSなどに暴言を吐かれたりしたこともあり、家内の心労もかなり酷いものということに私自身が気付いてテイクアウト専門にしました。化学物質過敏症の反応物質は次第に範囲を広げるようで、必ずしも花粉が原因ではない花粉症の発症に似ています。最近では柔軟剤や芳香剤、香水などにも反応し、タバコ煙と同じような症状が出るようになってしまいました」

グー・チョキ・パーの信号とは

 化学物質過敏症は、物質に対する既存の中毒症状との違いや共通点、原因物質と症状との因果関係、どんな環境でどの程度の物質で発症するのかという病態、個人差はどうかなど解明すべきことは少なくない。化学物質過敏症という病態は、微量中毒、アレルギー反応、心因性の原因、これらの複合、遺伝的な個人差などがある。原因物質についても既知のもの、新規化合物、粒子の大きさ、生成過程と成分などの分析が重要だ。

 飯島さんも都内の化学物質過敏症を専門に治療する医療施設を受診し、タバコ不耐症と診断された。その説明によれば、極めて微量のタバコ臭に反応して体調が著しく不良となるため、関係者の配慮が望まれることになっている。

飯島さん「お医者さんからはとにかく反応物質から逃げることが大事だといわれました。しかし、山の中へ逃げるのではなく、日常生活を送る中でタバコ煙などを避ける行動をとることを勧められたんです。日常生活を送るよう努力することが大切ということでしょう。道を歩いていても喫煙所は避けますし、歩きタバコをしている人を発見したら遠回りすることもあります。しかし、加熱式タバコはパッと見ではわからないことも多いので、家内が先導して私にグー・チョキ・パーの合図をすることもあるんです」

 チョキは指で挟む紙巻きタバコを、パーは大丈夫、喫煙者はいないという意味だ。そして、グーはアイコスなどを握って喫煙する加熱式タバコの喫煙者の存在を意味する。飯島さんのような患者がいることを加熱式タバコの喫煙者、そしてタバコ会社は知っているのだろうか。

 受動喫煙については改正健康増進法で規制がなされるようになってきたが、街中には依然としてタバコ煙が立ち昇り通行者がタバコ煙にさらされる喫煙所もある。特に、最近になって多く見かけるようになってきた加熱式タバコ(アイコス、グロー=glo、プルーム・テック=Ploom TECH、パルズ=PULZE)は煙が目立たず(全く出ていないわけではない)ステルス性が高いため、紙巻きタバコのタバコ煙なら遠目に察知して避けることができる化学物質過敏症の患者も、いきなり呼出煙を浴びせかけられて症状が出てしまう。

症状との明らかな関係

 タバコ会社がアピールする加熱式タバコの有害成分低減は明らかに嘘と指摘するのは、同じく加熱式タバコによる化学物質過敏症に悩む都内のサラリーマンYさん(30代、男性)だ。Yさんが加熱式タバコの影響で喘息の症状が出るなど、体調を崩し始めたのは2017年10月頃という。

Yさん「もともと飲み会などで喫煙者からのタバコ煙で痰が出るということはありましたが、特におかしな症状が出ることはありませんでした。しかし、会社で向かいの席にいる同僚がアイコスを吸うようになってから体調が悪くなったんです。彼が喫煙所から帰ってきて私のそばを通るたびに舌が痺れ、胸が苦しくなり、上顎がただれ、めまいといった症状が出るようになりました。そして、2018年1月頃には喘息になってしまい、医療機関を受診したところ気管支喘息と診断されました。彼が出張でいないときには症状が軽くなりますし、同室の離れた場所にいる加熱式タバコの喫煙者がそばを通っても同じ症状が出ます。加熱式タバコと私の症状の因果関係は確かだと思います」

 現在、加熱式タバコはつい最近出たものを含め、4社からバージョン違いを合わせると10種類ほどが出ている。Yさんは加熱式タバコと自身の症状の関係を調べるため、同僚の喫煙銘柄を調べたという。その結果、1フロアに10人の加熱式タバコ喫煙者がいて、その中の8人がアイコス、グローとプルーム・テックがそれぞれ1人ずつだった。

Yさん「私の場合、紙巻きタバコより加熱式タバコのほうが、何倍も症状が悪くなります。また、加熱式タバコは種類によって出る症状が違います。アイコスは口の中がピリピリ刺激され、舌の感覚がなくなり、呼吸が苦しくなる感じです。プルーム・テックでは気分が悪くなり、息苦しくなります。グローも気分が悪くなります。私は専門家でも研究者でもありませんが、加熱式タバコは紙巻きタバコに比べて特に呼気に有害物質が長く残っているのではないかとも考えています。なぜなら、加熱式タバコを吸ってから2時間経った後の喫煙者と会話していても同じ症状が出るからで、紙巻きタバコの喫煙者との会話ではこのようなことはないからです。また、加熱式タバコの喫煙者が呼出する有害物質は、紙巻きタバコよりも遠くへ拡散しているように感じます。直線的にスピードを上げて飛んでくるような感じがするんです」

 加熱式タバコでは、タバコ会社が有害性の低減をしきりにアピールする。紙巻きタバコに比べれば有害物質は少なくなっているかもしれないが、そもそも紙巻きタバコから出る有害物質は環境省の基準では即座に使用禁止が言い渡されるレベルで、環境基準の数千倍の量といわれている。

 例えば、紙巻きタバコ1本の副流煙には約300μgのベンゼンが含まれているが(※3)、環境省の大気汚染基準によればベンゼンの1年の平均値は3μg/立方メートル以下であり、タバコ1本吸っただけでその部屋の1立法メートルが基準値の100倍に汚染されることになる。タバコ会社がいうように加熱式タバコの有害性が1/10(90%減)になっていたとしても、環境基準で定めるベンゼンの有害性を全く下回ってはいない。

 そもそもタバコ煙による健康被害に明確な閾値、つまりこれくらいなら大丈夫という安全域はない。喫煙本数と虚血性心疾患の関係を調べた研究では、1日20本を1日5本の1/4に減らしてもリスクは約17%しか減らず、受動喫煙では1日0.2本換算となり、虚血性心疾患のリスクは吸わない人に比べて受動喫煙の被害者で30%も多くなることがわかっている(※4)。つまり、加熱式タバコで有害性が低減されていたとしても無害になるわけでもなく、タバコを吸わないことに比べれば健康への有害性は格段に高くなるというわけだ。

まだ調査研究は少ない

 タバコの有害性を研究している専門家を含め、加熱式タバコから出る化学物質による受動喫煙と化学物質過敏症との関連はまだはっきりとわからない、という。なぜなら、加熱式タバコからは多種多様な化学物質が出ていて、複合的な影響によるものが考えられ、その組み合わせはかなり複雑になるからだ。

 北里大学北里研究所病院の呼吸器内科医でもあり、北里大学薬学部で生体制御学を教えている鈴木幸男教授は、まだ加熱式タバコと化学物質過敏症の関係については確固たる論文も少ない、という。ただ、加熱式タバコのタバコ煙からはホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなど、数多くの化学物質が確認されているので、化学物質過敏症の患者が感じる化学物質が含まれている可能性はあると指摘する。

 専門家の中には、加熱式タバコによる影響はニコチンに対する反応で調べてみるのがいいのではという意見もある。症状を引き起こす化学物質は多岐にわたるが、ニコチンだけはタバコ製品からしか出ないからだ。

 都内在住のMさん(60代、男性)は医師でもあり、バイオ系の研究者でもあるが、自宅へ侵入してくる近隣喫煙者のタバコ煙に悩まされている。深夜を過ぎたあたりから帰宅した近隣住人がタバコを吸い、息苦しさ、耳鳴り、頭痛、めまい、悪夢などにより極度の体調不良と睡眠障害を毎晩のように引き起こすという。Mさんは自身の症状からニコチンへ反応する症状なのではないかと推測している。

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深夜の有害物質流入と症状の説明図。空気清浄機のインジケーターが反応すると症状が悪化する様子がわかる。図提供:M医師

 化学工場の労働者が化学物質に触れ、健康被害を引き起こすことは従来から知られてきたが、住環境や生活環境の変化で建材や内装材、洗剤、芳香剤などによる化学物質に一般市民もさらされている。労働災害としては「多種化学物質過敏状態(Multiple Chemical Sensitivity、MCS)」となるが、日常生活ではいわゆる「シックハウス症候群(ビル関連疾患、Building Association Diseases)」として、個々人の病態を表す名称としての「化学物質過敏症(Chemical Sensitivity、CS)」に多くの患者が苦しむようになってきてもいる。

 日本では建築基準法によりホルムアルデヒドの測定が義務づけられ、教育現場でも室内の化学物質濃度に基準が設けられている。受動喫煙によるタバコ煙も化学物質過敏症の発症に関し、重要な原因になっている。

 そして、前述した患者らの話によれば、アイコスなど加熱式タバコ(電子式加熱タバコ)によっても化学物質過敏症が生じるのは明らかなようだ。加熱式タバコからニコチンを含む既存の紙巻きタバコとは異なった未知の化学物質が発生し、それらが複合的に作用しているのではないだろうか。

 筆者は都内で毎月1回開かれるタバコ問題の会合へ出席しているが、そこへは近隣のベランダ喫煙などの受動喫煙に悩む相談者が毎回平均2~3人は新規に参加する。加熱式タバコによる被害を訴える人も増えてきており、加熱式タバコの喫煙者の増加とリンクしているようだ。

 また、いわゆる「香害」に苦しむ患者救済に取り組んでいる日本消費者連盟によれば、加熱式タバコを吸う友人宅で化学物質過敏症を発症した例などがあるという。こうした患者は、とにかく加熱式タバコの喫煙者に会わないようすにすることが自衛手段だ。同連盟も、患者個々人によって発症する状況が異なるため、まだ加熱式タバコと化学物質過敏症のはっきりした因果関係がわかっているわけではないと付け加えた。

 日本の加熱式タバコ市場へ最近参入したインペリアル・タバコ・ジャパンを除くフィリップ・モリス・ジャパン、日本たばこ産業、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンの3社に加熱式タバコの健康被害、特に化学物質過敏症の患者について質問したところ、フィリップ・モリス・ジャパンと日本たばこ産業から回答を得た。

 アイコスを製造販売するフィリップ・モリス・ジャパンは、アイコス使用による周囲への影響について「IQOSは、たばこを燃やさず加熱するので、紙巻たばこに比べて明らかにたばこのニオイが少なくなっています。また、使っていないときに煙は出ませんし、吐き出されたたばこベイパーもすぐに消えるため、紙巻たばこの副流煙(使っていないときに出る煙)に比べて周りの人に不快な思いをさせにくくなっています。加熱式たばこの使用による周りの方への影響については、2018年4月発表の当社研究「IQOSエアロゾル受動曝露試験結果」によると、現在存在する検出方法で測定可能な限り、ニコチンとたばこ特異的ニトロソアミン(発がん性物質として知られる)の周りの方への悪影響は認められませんでした。ただし、IQOSはたばこ製品ですので、IQOSを使用する場合は、周りの方への配慮を忘れないことが重要と考えています」とのことだった。

 また、日本たばこ産業は、化学物質過敏症を発症させる物質について「化学物質過敏症は『特定の化学物質に接触し続けていると、のちに僅かなその物質に接触するだけで、体調異常となる状態』といわれています。しかしながら、同じ環境にいても発症する人としない人がいるなど、その症状や発症については未解明な部分が多いとされております。発症に関与する要因として、化学薬品、有機溶剤、貴金属、排気ガス、医薬品、たばこの煙などの様々なものが挙げられておりますが、これらの要因がどのようにこの疾病に関係しているかについては、未だ明らかにされておりません。そのため、今後、より一層の研究が必要であると考えています」と回答した。

 そして日本たばこ産業は続けて「なお、環境中に漂うたばこの煙は、周囲の方々、特にたばこを吸われない方々にとっては迷惑なものとなることがあり、弊社では、周囲の方々への気配りを示していただけるよう、たばこを吸われる方々にお願いしています。特に、子供やお年寄りなど環境中の物質による刺激に対して、敏感である方々の周りでの喫煙にも特段の配慮が必要であり、このような方々の周りでの喫煙は控えることを勧めております。また、たばこを吸われない方や煙を好まない方のために、公共の場所や室内における適切な分煙等の環境改善について、積極的な取り組みを継続して実施しております」と付け加えている。

 フィリップ・モリス・ジャパンは限定的な検出方法としつつ、アイコスから出るタバコ由来の有害物質についての悪影響は否定した。また、どちらも加熱式タバコの健康被害については、喫煙者に対して周囲への配慮を要請する形になっていて自社製品の製造物責任については述べていない。

 だが、加熱式タバコによる影響で化学物質過敏症を発症したと考えられる患者は確かに存在する。そして、加熱式タバコには受動喫煙の害もあるのだ。こうした被害が拡大しないよう、公衆衛生当局は早急に対処する必要があるのではないだろうか。

※1:内山巌雄、「化学物質過敏症の実態調査」、アレルギー、第51巻、805-808、2002

※2:Takahiro Tabuchi, et al., "Heat-not-burn tobacco product use in Japan: its prevalence, predictors and perceived symptoms from exposure to secondhand heat-not-burn tobacco aerosol." Tobacco Control, Vol.27, Issue e1, 2018

※3:稲葉洋平、内山茂久、「喫煙と室内環境」、空衛、2012年3月号

※4:Terry Pechacek, "How acute and reversible are the cardiovascular risks of secondhand smoke?" the BMJ, Vol.328, 2004

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新型タバコの現状、体への影響や税金は?

新型タバコの現状、体への影響や税金は?

https://limo.media/articles/-/11022

2019.05.06 06:00

最近では、禁煙が政策で推し進められているなか、街中で「加熱式タバコ」や「電子タバコ」といった、従来とは異なるタバコを吸っている人を見かけることも多くなりました。こうした新型タバコは「紙巻きタバコよりも害が少ない」「禁煙に役立つ」といったうたい文句でも売り出されていますが、まだ歴史が浅いことから、現在もさまざまな調査が進められているところです。

この記事では、新型タバコについての議論やこれまでの経過を簡単にまとめてみます。

そもそも電子タバコ・加熱式タバコって?

加熱式タバコは、タバコの葉を加熱して発生した蒸気を吸い込むものです。「iQOS(アイコス)」や「グロー」「プルーム・テック」という商品名を耳にすることも増えているのではないでしょうか。一方、電子タバコはVAPE(ベイプ)とも言い、リキッドと呼ばれる香り付きの液体を加熱して霧状にしたものを吸う器具です。これらは混同されることも多いですが、まったく別の仕組みのものです。

電子タバコと加熱式タバコの一番の違いは、「タバコの葉を使っているか否か」という点です。アイコスやブルーム・テックといった「加熱式タバコ」はタバコの葉を加熱するものなので、従来の紙巻タバコと同じくニコチンやタールも含まれています。ただし、タバコの葉を燃やさずに加熱するため、タールが紙巻きタバコと比べて9割以上削減されていると言われています。また、副流煙がほとんど出ないため、受動喫煙による健康被害が紙巻きタバコより少ないとされ、禁煙とされる場所でも吸うことができる場合もあります。

電子タバコは、煙のように見えるミストを吸い込んで、疑似的にタバコを吸っている感覚を味わうものです。欧米では電子タバコのリキッドにニコチンが含まれている場合がありますが、日本では薬機法(旧薬事法)上の決まりでリキッドにニコチンを含ませることができないため、基本的にニコチンやタールが含まれていません。そのため、「禁煙促進に有用だ」という主張もあります。

増税が続くなか、気になるお値段は?

2018年の10月の税制改正によって、「加熱式たばこ」の区分が新たに設けられました(以前は「パイプたばこ」に区分されており、税金自体はかかっていました)。

現在、従来の紙巻きタバコの税金が60%程度であるのに対して、加熱式タバコにかかる税金は、タバコの葉の重量に応じて15%〜50%程度。節約になるという理由で加熱式タバコに切り替えた喫煙者もいるようですが、加熱式たばこの税率は2022年まで段階的に増やされ、紙巻きたばこの7~8割程度まで引き上げられることになっています。

一方、電子タバコにはニコチンが含まれていないため、日本では現状、たばこ税はかけられていません。従来の紙巻きタバコから加熱式タバコに切り替えた喫煙者も、今後の加熱式タバコ増税に伴い、節約や減煙・禁煙のため、電子タバコに移行していく可能性も高いのではないかと考えられているようです。

無害というわけではない

実際に、日本やイギリスでも、ここ数年で電子タバコの利用者が急増しています。イギリスの禁煙推進団体ASH(アクション・オン・スモーキング・アンド・ヘルス)の調査によると、電子タバコ利用者が紙巻きタバコから電子タバコに切り替えた主な理由として、禁煙が挙げられてもいます。

しかしながら、電子タバコも加熱式タバコも、従来のタバコより害が少ないとされていることに疑問を投げかけるような研究結果もあります。日本呼吸器学会では、「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用は、健康に悪影響がもたらされる可能性がある」という見解を示しており、2018年8月にはイギリスの研究チームが「電子タバコの蒸気が肺の免疫細胞を壊す可能性がある」という研究結果を発表しています。

また、ほとんど副流煙の出ない加熱式タバコも、喫煙者が吐き出した息に有害物質が含まれていると言われます。そのため、「受動喫煙の可能性は十分にあり、紙巻きタバコと同様に公共の場で吸うべきではない」と考える人も多いようです。

新型タバコへの意見

電子タバコにおいても、ニコチンやタールは入っていなくとも、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドといった有害物質が検出されています。また、非喫煙者からは「水蒸気がたくさん出ているのも、タバコの煙のようで迷惑」といった意見もあり、リキッドに香りがつけられているため「結局、臭いので意味がない」と嫌がる人も多いようです。

電子タバコや加熱式タバコを吸う人は、「周りに迷惑がかからないように、紙巻きをやめて電子タバコ・加熱式タバコに変えた」という人も多いようですが、そういった意見に対して、

「電子タバコだからいいだろう、という態度はどうなんだ」
「どんな害があるかまだわからないものを吸わないでほしい」

といった厳しい声もあります。

新型タバコの扱い方はどうなる?

電子タバコも加熱式タバコも、従来のタバコとは異なる構造のため、今のところはいわゆるタバコとは別ものとして扱われることも多いようです。しかし、本人や周りへの影響が紙巻きタバコより少ないとはいえ、害がまったくないとは言えないということが少しずつ判明してきてもいます。

タバコに関してはこれまでさまざまな議論がなされ、公共の空間でタバコを吸うことは制限されてきています。新型タバコについてはまだわからないことが多いものの、今後はそうした対応が電子タバコや加熱式タバコにも及んでいくのかもしれません。

クロスメディア・パブリッシング

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日本は加熱式タバコ、世界は電子タバコ? 最大級の展示会「eCig Expo」を見てきた

日本は加熱式タバコ、世界は電子タバコ? 最大級の展示会「eCig Expo」を見てきた

https://www.excite.co.jp/news/article/Cobs_1900579/

2019年4月19日 20:14

●日本発ブランドで人気のjouz
中国・深センで世界最大規模の電子タバコ関連展示会「2019 IECIE Shenzhen eCig Expo」が開催されました。Vapeをはじめとした電子タバコは、世界中で人気にはなっていますが、日本国内では普及にはほど遠い状況です。代わりに、日本では加熱式タバコが世界に先駆けて普及しています。そんな世界の電子タバコ事情が垣間見えるeCig Expoを取材してきました。

日本国内での加熱式タバコは、フィリップモリスのiQOS(アイコス)、ブリティッシュ・アメリカン・タバコのglo(グロー)、JTのプルーム・テックが主力です。新しいジャンルの製品ですが、利用者が拡大しています。

この加熱式タバコで最大シェアのiQOSは、たばこ葉を詰めたスティック(ヒートスティック)をiQOS本体に挿して、スティックを加熱することでニコチンを含んだ蒸気を発生させる仕組みです。この仕組みを再現して、ヒートスティックを加熱できるiQOS互換機というものが登場しています。

その代表の一つがjouzでしょう。日本発のブランドとしてiQOS本体より手ごろな価格ながら、iQOSにはない機能を搭載して、さらにバッテリーの安全性の向上や吸い心地の研究によって、iQOS互換機として高いレベルを実現しています。

そんなjouzは、eCig Expo会場内でも大きなブースを構え、来場者の注目を集めていました。jouzは、加熱式タバコだけでなく新たにVapeの「jouz S」も2019年夏から発売予定で、こちらも出展していました。

ニュース トレンド IT 日本は加熱式タバコ、世界は電子タバコ? 最大級の展示会「eCig Expo」を見てきた
日本は加熱式タバコ、世界は電子タバコ? 最大級の展示会「eCig Expo」を見てきた
マイナビニュース 2019年4月19日 20:14 0


jouz SはスティックタイプのVapeで、さまざまなフレーバーのリキッドが入ったカートリッジが用意されています。これを本体に挿入して吸い込めば蒸気が発生して、フレーバーを楽しめます。

日本では法規制の関係上、ニコチン入りのリキッドを販売することができないため、日本で発売する場合はフレーバーのみの蒸気が発生します。逆にいえば、タバコを吸っているように見えても「香り付きの蒸気を吸って吐いている」だけです。

jouzがこのVapeを販売するのは、「新しい習慣として広げたい」という思いがあるからだといいます。タバコ人口は減少していますが、喫煙自体は嗜好品として長い歴史があります。味わいや香りを楽しむ葉巻のように、嗜好品としての習慣となることを目指したのがjouz Sだといいます。

そのため、5種類のフレーバーを用意し、香りと味わいを楽しむ製品としてアピールしています。海外では、これにニコチンを加えたVapeとして提供もされますが、日本ではあくまで「嗜好品」として販売していく考えです。

jouzのブースでは、簡単に扱えるVapeとして来場者の注目を集めていたようです。シンプルですがスタイリッシュなデザインで、持ち歩きも吸いやすさも考慮した軽量サイズなので、気軽に使えるのが特徴です。

ほかにも、中国市場でより安価な「jouz C」や、一回吸いきりの「jouz A」も今後発売予定とのこと。カラフルなボディを採用してファッション性にも配慮しているようです。

中国では、加熱式タバコが政府によって許可されていないため、まだ販売されていません。国営のタバコ会社が開発を進めているようで、今後解禁される可能性は高そうですが、現時点で加熱式タバコが流通していないのにもかかわらず、意外に加熱式のjouz製品をチェックする来場者も多かったのが印象的でした。

iQOSやjouzのような高温で加熱する加熱式タバコは、Vapeよりもタバコ感があり、中国では日本でiQOSが人気なことから、日本旅行でiQOS製品を買って帰る中国人が多く見られます。そうしたことも手伝って、加熱式タバコにも一定の期待感があるようです。会場でVapeと加熱式タバコの双方を提供する数少ないメーカーとして、jouzは注目度が高かったのでしょう。

●より簡単に使えるVapeが人気に
前述の通り、中国市場には加熱式タバコはありませんが、中国は比較的喫煙者の多い国です。加えて、深センにはVape製品を製造する工場も多く、中国内ではVapeが一定のブームとなっています。

それも手伝って、今回のeCig Expoは規模を拡大。深セン会場は世界最大規模にまで拡大しています。eCig Expoは、小規模ながら上海でも開催される予定で、年2回の開催というほど、中国では大きな存在感となっています。

主力となるのはVapeです。会場には多くのVapeブランドがブースを構え、既存製品の紹介や新製品の展示を行っていました。

例えばJoyetechは、コンパクトながらハイパワーの「EXCEED GRIP」を出展。6種類のデザインバリエーションを用意し、手のひらサイズながら20Wの高出力を達成。新たなメッシュコイルも採用して吸い心地も改良しました。リキッド入りのカートリッジ(ポッド)を交換するだけですぐに利用できるほか、コイル変更も可能な通常のカートリッジも使えて、初心者も上級者も満足できる、としています。

Eleafの新製品としては、jouz Sのように平べったいスティックタイプの「iTap」を出展。ポッドシステムを採用して、出力は最大30W。コンパクトなVapeスターターキットとしてアピールしていました。

AspireのサブブランドであるZQは、ライターのようなサイズとスタイルの「Vi」を出展。こちらもコンパクトですが4色のカラーを用意してデザイン性を高めています。

面白いところでは、Asvapeの「世界初のタッチスクリーン搭載」という「Touch」が出展されていました。出力を切り替えたり、吸引時間などを表示したり、スマートフォンほどではないですが、比較的軽快に動作するタッチスクリーンを搭載しています。

もう一つ「世界初」をアピールしていたのは、Polarnightの1664ブランド。出展されていたのは「携帯電話Vape」。指先ほどのカートリッジにUSB Type-C端子を備え、それをスマートフォンのUSB Type-C端子に接続すればVapeに早変わりする、というシロモノです。

実のところ、機能としてはスマートフォンから電力を供給しているだけなので、モバイルバッテリーでも動作するということで、機能としては特に豊富ではありませんが、気軽に使うことができそうです。カートリッジは使い切りです。

DripArtの「LIMWELL」は、スマートフォンのタッチペンとVapeが一体化した製品。タッチペンの反対側から吸い込みつつ、タッチペンでそのままスマートフォンを操作できます。なぜかパッケージが(少し怪しい)日本語だったのですが、ブースの説明員に英語が通じなかったため、日本で販売するものかどうかは分かりませんでした。

会場内ではiQOS互換製品として、jouz以外にも2~3製品を見かけましたが、現時点で世界の趨勢はVape一色という感じ。Vapeは、欧州での利用が拡大し、米国やアジア、中東でも利用者が拡大しています。

欧米では大型・高出力のVapeが人気ですが、アジアでは比較的コンパクトな製品が好まれるようで、各ブランドでも新製品はコンパクトサイズが多かったのが印象的です。また、初心者の増加もあるためか、ポッドを交換するだけで簡単に使えるコンパクトな製品が増えているようでした。大型サイズに比べて出力が小さいコンパクトなVapeは煙(水蒸気)の量も少ないため、日本にも向いていそうです。

日本では、こうしたブームとは異なり加熱式タバコが主流になっており、Vapeは一部個人の趣味にとどまっています。日本ではニコチンリキッドが販売できないので、より安心できる嗜好品としてのVapeが一定の評価を得られる可能性はあるでしょう。海外でも簡単に使えてスタイリッシュなデザインを意識したVapeが増えてきているのも追い風になりそうです。

その意味では、jouz Sが今夏に登場するのはいいタイミングにも思えます。eCig Expoは、世界のVape人気を目の当たりにできて、日本市場の展開も気になるイベントでした。

 

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ニコチン依存を強める「二重喫煙」アイコスなど新型タバコと紙巻きタバコ

ニコチン依存を強める「二重喫煙」アイコスなど新型タバコと紙巻きタバコ

https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20190417-00122678/

石田雅彦 | ライター、編集者
4/17(水) 12:43

 アイコス(IQOS)などの加熱式タバコを含む新型タバコを吸う人は、これまで吸っていた紙巻きタバコと併用するケースが多い。最近、この二重喫煙でニコチンの摂取量が増え、依存度が強まるという論文が出た。

二重喫煙は半分以上

 世界でも日本は特異的にアイコス、グロー(glo)、プルーム・テック(Ploom TECH)といった加熱式タバコの喫煙者が増えている。この理由の一つは、ニコチンの取り扱いに規制がかけられている日本では、欧米で広く吸われている電子タバコのリキッドなどにニコチンを添加できず、タバコ葉を使う加熱式タバコしかタバコ製品として販売できないということがある。

 加熱式タバコや電子タバコのことを大きく新型タバコというが、喫煙者は必ずしも従来、吸ってきた紙巻きタバコから新型タバコへまるっきり切り替え、新型タバコしか吸わなくなるわけではない。なぜなら、喫煙者の多くは新型タバコの吸い心地に満足できず、本心は紙巻きタバコを吸い続けたいが、健康懸念や受動喫煙の害といった様々な動機から新型タバコに手を出していると考えられるからだ。

 2018年に日本で行われた新型タバコの使用実態に関する調査研究(※1)によれば、男性の14.5%が、また女性の4.7%が、電子タバコを含む新型タバコを吸っていると回答している。そして、それまでタバコを吸ったことのない人の3.4%が、また禁煙していた人の4.3%が、新型タバコを吸い始め、さらに新型タバコの喫煙者の半分以上が紙巻きタバコとの二重喫煙者だったという。

 初めて吸うのが新型タバコという人が少なからずいて、せっかく禁煙していたのに新型タバコに再び手を出してしまう人も多い。そして、紙巻きタバコとの二重喫煙が半分以上という調査結果には驚かされる。

常套手段の有害性低減のPR

 なぜ、加熱式タバコを含む新型タバコをわざわざ吸い始め、再喫煙で手を出してしまうのだろうか。そして、なぜ完全に新型タバコに切り替えることができず、有害性がより高いと思われる紙巻きタバコから逃れられない人がこれほど多いのだろうか。

 アイコスはフィリップ・モリス・インターナショナル、グローはブリティッシュ・アメリカン・タバコ、プルーム・テックは日本たばこ産業というタバコ会社がそれぞれ製造販売している(輸入タバコは国内法人)。タバコの有害性が明らかになり始めたのは約70年前だが、それ以後、タバコ会社は喫煙者を離反させず、新たな喫煙者を取り込むため、有害性の低減をうたい文句にしたタバコ製品を開発し続けてきた。

 フィルター付き、低タールなどだが、加熱式タバコも同じ文脈に位置するタバコ製品だ。喫煙者の多くは、タバコによる健康被害について懸念を抱き、恐れを感じている。タバコ会社はそうした喫煙者の心理に訴えかけ、有害性の低減をうたったタバコ製品を提供し続けてきた。

 だが、フィルター付きにせよ低タールにせよ、タバコ会社がPRするような健康懸念を払拭することはできず、発がんや呼吸器疾患、循環器疾患などの発症リスクをなくすことはできなかった(※2)。タバコ製品や放射線など、様々な要素が複雑に絡み合う事象の健康影響が明確になるまでには何十年もかかる。さらに、大規模な疫学調査も必要となるから、その結果が出るまでタバコ会社はモラトリアム的に延命を図ってきたというわけだ。

 タバコ会社にしてもわざと喫煙者や受動喫煙の被害者の健康に害のある製品を作っているわけではないのだろうが、タバコ製品はどうしても有害性の高い物質を含まざるを得ない。さらに、喫煙は日常的に習慣化し、長期間にわたって続くので、いくら有害性を低くしても長期間の慢性的曝露を避けることはできない。

ニコチンは同様に入っている

 なぜ、喫煙が日常的に習慣化し、長期間、有害物質に慢性的に曝露するかといえば、それはニコチンという依存性薬物による影響の結果にほかならない。そして、タバコ会社の作り出す新製品には、常に共通して依存の有効性を保つだけの量のニコチンが含まれており、それは加熱式タバコも例外ではないのだ。

 では、二重喫煙についてはどうだろうか。紙巻きタバコを吸ってきた喫煙者が、加熱式タバコの味わいや吸い心地について不満を抱いているとすれば、二重喫煙も理解できる。

 米国ではニコチン添加式の電子タバコが若年層の間でかなり広まっており社会問題になりつつあるが、米国の中高生を対象にした調査(※3)によれば、電子タバコ使用者の少なくとも81%が紙巻きタバコや葉巻など、他のタバコ製品との二重喫煙だったという。

 欧米ではこうした電子タバコについての研究も多く、若年層の二重喫煙は従来のタバコ製品との併用のほか、電子タバコを入口(ゲートウェイ)にして紙巻きタバコなど、より使用感の強いタバコ製品に手を出すようになるという調査もある(※4)。

 二重喫煙の影響についてはどうだろうか。これについては、呼吸器疾患のリスクが高まるという論文(※5)がスウェーデンの研究グループから出ているが、まだそう多くはない。

ニコチン依存度を高める二重喫煙

 ただ、電子タバコと紙巻きタバコなど従来型タバコ製品の二重喫煙は、ニコチン依存をより強めるようだ。米国の南フロリダ大学リー・モフィットがん研究センターなどの研究グループが、禁煙希望の二重喫煙者2896人についてニコチン依存度のテストスケール(Heaviness of Smoking Index、HSI)で調べたところ、電子タバコを吸い始めると従来型タバコ製品の喫煙本数は減少するが、全体としてのニコチン摂取量と依存度はむしろ増えた(※6)。

 この研究グループは、ニコチンの依存性が高まれば電子タバコを含むタバコ製品から離れられず、喫煙習慣が継続してしまうことが予測されるという。電子タバコは蒸気(ベイパー)を発生させるタイプのものも多いが、気化させる際に加熱する金属から有害物質が出ているという研究もある(※7)。

 欧米で販売されている電子タバコは喫煙者が増加し続け、大きな公衆衛生上の問題になっていることもあってこれからも研究は増えていくだろう。健康懸念についてのエビデンスも出てくることが予想されるが、日本で広まりつつある加熱式タバコについての研究は電子タバコほど多くない。

 だが、電子タバコは禁煙へ誘導できず、むしろ呼吸器疾患などの健康リスクを高めることが次第に明らかになっている。ニコチン・デリバリー・システムとして電子タバコと同じカテゴリーに属する加熱式タバコにもまた、同じようなリスクがあると考えるのは不自然ではない。

※1:田淵貴大、「日本における加熱式タバコ及び電子タバコの使用状況」、欅田尚樹編、厚生労働科学特別研究事業、平成29年度、事業実績報告書:非燃焼加熱式たばこにおける成分分析の手法の開発と国内外における使用実態や規制に関する研究、2018

※2:Nigel J. Gray, "Nicotine Yesterday, Today, and Tomorrow: A Global Review." Nicotine & Tobacco Research, Vol.16, No.2, 128-136, 2014

※3:Youn Ok Lee, et al., "Examining Youth Dual and Polytobacco Use with E-Cigarettes." International Journal of Environmental Research and Public Health, Vol.15(4), doi:10.3390/ijerph15040699, 2018

※4:Faraz Siddiqui, et al., "E-cigarette use and subsequent smoking in adolescents and young adults: a perspective." Expert Review of Respiratory Medicine, doi.org/10.1080/17476348.2019.1589371, 2018

※5:Linnea Hedman, et al., "Association of Electronic Cigarette Use With Smoking Habits, Demographic Factors, and Respiratory Symptoms." JAMA, doi:10.1001/jamanetworkopen.2018.0789, 2018

※6:Ursula Martinez, et al., "How Does Smoking and Nicotine Dependence Change after Onset of Vaping? A Retrospective Analysis of Dual Users." Nicotine & Tobacco Research, doi.org/10.1093/ntr/ntz043, 2019

※7:Pablo Olmedo, et al., "Metal concentrations in e-cigarette liquid and aerosol samples: the contribution of metallic coils." Environmental Health Perspectives, Vol.126(2), 2018

 

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喫煙者減少も、たばこ小売店はまさかの売り上げ増!その理由とは…

喫煙者減少も、たばこ小売店はまさかの売り上げ増!その理由とは…

http://news.livedoor.com/article/detail/16335710/

2019年4月18日 15時44分 帝国データバンク

 喫煙人口が減少している。2018年に日本たばこ産業(以下、JT)が発表した「全国たばこ喫煙者率調査」によると、2017年との比較で推計37万人の減少となった。

 2018年7月には改正健康増進法が成立し、政府や自治体も規制の強化に乗り出しているほか、たばこ税の増税や健康志向の高まりなどで喫煙者人口が減少している。そのほかにもここ数年で喫煙に関して環境が大きく変化する中、たばこの小売りを主業とする業者が直接影響を受けていることが予想されるが、果たして。

 帝国データバンクの企業概要データベース「COSMOS2」より2011年度から2017年度まで業績が判明したたばこの小売りを主業とする305社の売上高をみると、表の通り。
 
 売上高は、2016年度まで6年連続の減少となったものの、2017年度は減収傾向から一転し、前年度比8.4%増となった。2013年度の水準にまで回復している。2016年までは、社会的な禁煙意識の高まりからたばこ・喫煙具小売を主業とする業者へも大きくその影響を及ぼした。また、本データで抽出した業者の多くは、たばこの自動販売機を設置して営業している業者。未成年者の喫煙防止を目的として発行されたtaspoカードの所持率の低さや、周辺のコンビニエンスストアの増加に伴い、消費者が流出したことも減収の要因となったといえる。

 ではなぜ2017年度は一転して増収となったのだろうか。背景には、2014年から日本でも普及し始めた加熱式たばこによる影響が大きいと考えられる。JTの推計によると日本のたばこ市場全体に占める加熱式たばこの割合は2018年8月時点で20%を超え、2017年の12%から急上昇している。紙巻たばこと異なりにおいがつきにくいことが喫煙者の間で人気を博している。本体の購入に加え、多彩なフレーバーのタバコやカートリッジの購入者の増加が業績を伸ばす要因となったと売上高の推移から各社の動向が読み取れる。近時は、JTをはじめ大手各社による改良品の発売などもあり、今後も業界内のさらなる競合の激化、紙巻きたばこの販売本数減少を補う形で加熱式たばこの普及率が上昇することが予想され、この動きがたばこ小売業者の業績にも波及するものと思われる。

 来年は東京オリンピック・パラリンピックが控えており、引き続き今後も喫煙について大きく環境が変化するだろう。東京都では、受動喫煙防止条例も制定され、特に飲食店での喫煙に対する規制が強化された。

 上述のように喫煙者と非喫煙者お互いが不快なく過ごせる社会づくりへの取り組みが官民一体となって行われているが、たばこ小売業者は法律や条例、健康意識の高まりといった外部環境の変化に直接影響を受ける業界であり、今後も動向が注目される。

 

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全席禁煙のファミレスで「加熱式タバコ」 店は「お帰りください」命じてOK

全席禁煙のファミレスで「加熱式タバコ」 店は「お帰りください」命じてOK

http://news.livedoor.com/article/detail/16293586/

2019年4月10日 9時46分

「全席禁煙にもかかわらず、加熱式タバコを隠れて吸う客が居ます」。こんな相談が弁護士ドットコムニュースのLINE@に寄せられました。

相談者は、宮城県でファミレスの店長をしている40代女性。店は全席禁煙ですが、その客は一番奥の座敷に座り、店員側に背を向けた状態で加熱式タバコを吸っていたそう。

女性が臭いに気づき注意すると、加熱式タバコを隠し何もなかったような態度をとられました。しかし、退店後のテーブルには、吸い殻が並べられていました。

女性は「禁煙なのに加熱式タバコもダメな事くらい常識で分かっていると思います。6~7人での来店でしたが、その中で注意する人も居ないのが残念です」と話します。

このような客が来店した場合、「お帰りください」と退店を命じることは法的にできるのでしょうか。

●退店を命じることができる
石井龍一弁護士は「客として誰を立ち入らせるかは、原則としてお店の側で決める権利があります。全面禁煙の飲食店で喫煙をしている客がいれば、店側はその客に退店を命じることができます」と話します。

厚生労働省は加熱式タバコについて、「主流煙に健康影響を与える有害物質が含まれていることは明らか」としながら、「加熱式タバコの受動喫煙による将来の健康影響を予測することは困難」として研究や調査を続けることが必要としています。

加熱式タバコの場合はどうでしょうか。

「飲食店が店内を全面禁煙にするのは、副流煙の受動喫煙による他の客の健康被害を防止するという目的でしょうから、そのような健康被害がないというのなら、吸ってもよいということにもなりそうです。

しかし、加熱式タバコの受動喫煙による健康被害の可能性が全くないと断定されているわけではありません。仮にその恐れがないとしても、飲食店が店内を全面禁煙にする目的は、店内にタバコの臭いが出ないようにする、店内の雰囲気をよく保つなど、他にも考えられます。

したがって、店が全面禁煙としている以上、加熱式タバコであっても、喫煙している客に退店を命じることができると考えられます」(石井弁護士)

●加熱式タバコも規制対象に
2018年7月には、改正健康増進法が成立しました(五輪前の2020年4月に全面施行)。学校や病院をはじめ、多数の人が利用する施設について屋内は原則禁煙とし、加熱式タバコも規制対象に含まれています。

2020年東京五輪の会場は、加熱式タバコを含めて、競技会場の敷地内全てが全面禁煙となります。お店や街中でたばこを吸う人を見かけることが少なくなりそうです。

【取材協力弁護士】
石井 龍一(いしい・りゅういち)弁護士
兵庫県弁護士会所属
事務所名:石井法律事務所
事務所URL:http://www.ishii-lawoffice.com/

 

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JT加熱式たばこの反撃、「プルーム・テック・プラス」を生んだ熱血部長

JT加熱式たばこの反撃、「プルーム・テック・プラス」を生んだ熱血部長

https://diamond.jp/articles/-/199445

2019.4.11

「プルーム・テック・プラス」山田 学(JT たばこ事業本部 R&Dグループ 開発責任者)

 加熱式たばこの普及が進んで久しい。火を使わない加熱式たばこは、紙巻きたばこに比べにおいや有害物質が少ないといった特徴があり、今やたばこ市場で21%のシェアを占めるまでに成長している。

 だが、たばこ国内最大手のJTは、長らく加熱式たばこで他社の後塵を拝す。製品展開の遅れなどが要因だ。今年2月、起死回生の一手として、満を持して新商品を発売した。それが「プルーム・テック・プラス」である。

 東京都墨田区にあるJTの研究所には、加熱式たばこの研究を古くから引っ張り続けた男がいる。

 山田学、50歳。普段は作業着を身にまとい、商品開発から基礎研究、時には製造との折衝を重ねるなど、軽いフットワークで技術関連のあらゆる部署に顔を出す。

 社内で“熱血部長”の異名を取り部下から慕われる山田は、社内の生き字引のような存在だ。その歩んできた道は、JTの次世代たばこの歴史そのものでもある。

 山田がJTに入社したのは、1993年のこと。

 大学で機械工学を学んだ「ガンダム世代」の山田は、ものづくりへの熱い思いを抱く中、当時新規事業が盛んだったJTで一般産業機械を扱う部門に配属された。やがてJTが産業機械から撤退した後、山田は紙巻きたばこの製造機械の開発や研究開発の企画を担うなど、部署を転々としてきた。

 転機が訪れたのは、横浜市青葉区にあるJTのたばこ中央研究所へ異動になったときだ。

 そこで山田に課されたミッションは、「従来のたばことは違う全く新しい発想の製品を作る」というものであった。

煙のないたばこをヒントに
香りを楽しむたばこを

 実は、それまでも山田は部署を渡り歩く中で、従来の紙巻きたばことは異なる製品の開発に携わってきていた。間接的にたばこ葉を熱する「スチーム・ホット・ワン」や、巻紙に香料を付着させることでにおいを抑えた「D-spec」といった、一風変わった製品を開発。すでに水面下では、“電気的なたばこ製品”の研究も進めていた。

 こうした知見を見込まれ山田に白羽の矢が立ったのだ。

 とはいえ、次世代たばこの推進は、裏を返せば大黒柱である紙巻きたばこの否定にもつながる。社内で大手を振ることはできない。少人数のチームを率いての極秘プロジェクトだった。多くのアイデアが生まれては日の目を見ずに消えていく日々だった。

 このとき、山田らが取り組んだのが“煙の出ないたばこ”の開発だった。

 当時、紙巻きたばこの市場が縮小し、社会的にも規制が強化され始めていた。煙の出ないたばこにニーズがあると踏んだ。

 その成果は、2010年に発売された無煙たばこの「ゼロスタイル」として世に出る。果たして狙いは的中し、発売直後には店頭で品薄が続くなど話題を呼んだ。

 だが、当初こそ人気を博したゼロスタイルだったが、定着しなかった。やはり消費者が求めているのは、たばこらしい「煙」の存在だったのだ。海外では、電子たばこのように蒸気と香りを楽しむ製品が台頭しつつあった。

 煙の出ない商品を開発してきたからこそ限界も分かる。煙を出そう。ただし、徹底的にクリーンに。

 ヒントになったのは、山田が研究していた原料を処理する基礎技術だった。その過程にある「たばこ葉にベイパー(蒸気)を通す」という発想を、製品そのものに応用できないか。

 ただし、単純に蒸気を通すだけでは駄目だ。たばこの香味などを引き出すためには、たばこ葉そのものに特殊な前処理が必要だった。

 しかし、何のことはない。その技術は、ゼロスタイルのものと全く同じだったのだ。ゼロスタイルは、たばこ葉を入れた容器をくわえて吸い込むたばこ。これに蒸気を通せば、確かにたばこの香味が抽出されてくるではないか。

 こうして、「たばこ葉を通して熱した蒸気を吸う」という、いままでにない加熱式たばこを実現した初代の「プルーム・テック」が誕生した。発売は16年のことだ。

 山田は「一晩でひらめいちゃったアイデア」とひょうひょうと言うが、それも長年の多岐にわたる研究があってこそだろう。

弱点を補う新製品の投入で
加熱式での巻き返しを狙う

 だが、プルーム・テックは、他社とは異なる低温加熱型と呼ばれるタイプで、小型で取り扱いが楽な半面、吸い応えが軽いという難があった。それは、プルーム・テックのコンセプトが「たばこを自由に吸えないときに、手軽に吸える」ものだからでもあるが、他社の高温加熱型と比べて消費者の不満も明らかであった。

「吸い応えを強化する原理は完璧に分かっている。ベイパーの量と、たばこ葉の量を増やせばいい」

 山田は、プルーム・テックが市場で出遅れる中で、その“弱点”を補う商品の開発に着手した。

 リキッドの量を増やしバッテリーを強化。内部の構造を調整しながら、バッテリーなどの増強で大型化するデバイスに対し、何種類ものひな型を作り、手に持ちやすい最適な形状を追求した。

 かくして、プルーム・テック・プラスが誕生する。手軽さが売りのプルーム・テックに比べて、満足感を売り出す商品だ。

 発売からまだ2カ月余り。成否の判断はこれからだが、足元でJTは反転攻勢に全社が一丸となって取り組んでいる。

 研究開発の指揮を執る山田にも力が入る。加熱式たばこは従来のたばことは違い、電気製品のような開発体制が求められる。山田は、「開発チームは社内のスタートアップ」と言うが、道はここで終わらない。まだまだ秘密のアイデアがたくさんあるという熱血部長の闘志も熱く燃え上がっている。(敬称略)

(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

【開発メモ】プルーム・テック・プラス
 JTが1月に発売した低温タイプの加熱式たばこ(4980円、税込み)。2016年に発売された「プルーム・テック」に比べて、吸い応えを強化している。JTは、同じく1月に発売された高温加熱型の「プルーム・エス」と、プルーム・テックの3本の矢で加熱式たばこ市場でのトップを狙う。4月に6都府県での拡大販売、7月には全国に拡販する予定。

 

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やっぱり大人のまね…? 子供たちの間で電子タバコの人気、上昇中!

やっぱり大人のまね…? 子供たちの間で電子タバコの人気、上昇中!

https://www.japanjournals.com/uk-today/12723-190405-3.html

禁煙の第1歩として電子タバコに切り替える成人が、ここ英国でも少なくないが、やはり大人のまねをしたくなるのか、電子タバコに手を出す未成年が増加しているという。「メトロ」紙が伝えた。
キングズ・カレッジ・ロンドンが11~18歳の未成年を対象に行った調査で、1年のうちに1~2度ながら電子タバコを試してみたことがあると回答したのは、2014年には6.5%だったのが、2018年には約2倍の11.7%に増加したことが判明。
常に電子タバコを吸っていると答えたのは3.4%で、これも2014年の1.6%の2倍の割合となったことが公表された。
成人は禁煙の手段として電子タバコを選ぶ人が多いが、未成年者は、逆に電子タバコがきっかけで喫煙者となることが懸念されており、「ファッション」として安易に電子タバコに手を出す風潮に警鐘が鳴らされている。

By 週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)

 

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