電子たばこ

米喫煙者660万人の「早死に」、電子たばこで回避も=調査

米喫煙者660万人の「早死に」、電子たばこで回避も=調査

[ロンドン 2日 ロイター] - 米ジョージタウン大学医療センターなどの科学者チームが実施し「タバコ・コントロール」誌に掲載された研究で、喫煙者が従来のたばこから電子たばこに切り替えれば、今後10年間に米国で最大660万人の早死にが回避できる可能性があることが分かった。
科学界では、電子たばこが禁煙治療に有効かどうかなどで意見が分かれている。今回の研究を行った科学者らは、電子たばこをたばこ喫煙を終わらせる方法の1つに位置付けるべきとしている。
調査によると、電子たばこに切り替えた660万人の伸びた寿命の合計が8670万年に達した。
研究を共同指導したジョージタウン大学医療センターのデービッド・レビー氏は「従来の政策に、致死率のはるかに低い電子たばこ使用を推奨する政策を補う必要がある」と述べた。
調査では、最悪と最良のシナリオを使って、米国でたばこが電子たばこに切り替わった場合の公衆の健康への影響をモデル分析。その結果、最も悲観的なシナリオにおいても160万人、最も楽観的なシナリオでは660万人について、若年の死亡が回避できたという。
2017年10月3日

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社会全体では害より利益が大きい「加熱式たばこ」

社会全体では害より利益が大きい「加熱式たばこ」

紙巻きたばこからのスイッチを促せば、喫煙による死亡数は確実に低減していく

http://webronza.asahi.com/science/articles/2017092500007.html

2017年10月02日

電子たばこと加熱式たばこ

 喫煙者の多くは、喫煙の害を知っているがやめようとはしない、あるいはやめたいのにやめられないでいる。これはニコチン依存のなせる業である。ただし、ニコチンそのものの害は煙に含まれるタールや一酸化炭素に比べると小さい。まさに「ニコチンのために喫煙し、タールのために死ぬ」(マイケル・ラッセル、1976)のである。

 嗅ぎたばこ・噛みたばこなどの無煙たばこや、ニコチンガム・ニコチンパッチは、有害物質を減らしてニコチンだけをとってもらう代替策である。しかし、これらはニコチンの吸収速度が遅いうえ、たばこを吸うときの「儀式」的な動作もないため、喫煙者の多くに不満が残り、あまり普及していない。これを解決するものとして登場したのが、電子たばこであり、加熱式たばこである。

 電子たばこは専用カートリッジ内の液体(ニコチン、プロピレングリコール、植物性グリセリンなどを含む)を熱する。一方、加熱式たばこはタバコ葉を加熱する。紙巻きたばこではタバコ葉の燃焼に伴う煙が生じるのに対して、これらの新型たばこではニコチンを含むエアゾールが生じる。

 日本では、ニコチンを含む電子たばこは医薬品と位置付けられ、個人輸入の方法しか利用の道はない。加熱式たばこは「パイプたばこ」と位置付けられ、フィリップモリスのアイコス、JTのプルーム・テック、ブリティッシュ・アメリカン・タバコのグローが次々と登場してきた。小論では、先行の電子たばこに関する英米における研究や議論を参考にしながら、加熱式たばこの利害について考えてみる。

発がんリスクは圧倒的に低い

 加熱式たばこのエアゾールから有害物質や発がん物質が検出されたという研究を散見するが、加熱式たばこの評価は有害物質があるかないかという絶対的な尺度ではなく、紙巻きたばこと比べた相対的な尺度で検討するべきである。

 フィリップモリスの研究者は、アイコスのエアゾールと紙巻たばこの主流煙の化学分析や、取り出したヒト気管支上皮細胞に吹きかけてみるなどの実験を実施し、アイコスは紙巻きたばこより毒性が低いことを示した。さらに、東京の病院で160人の日本人喫煙者を対象に臨床試験をし、紙巻きたばこを継続して使用した人、アイコスにスイッチした人、禁煙した人の血液と尿を検査し、米国食品医薬品局(FDA)が示した「有害ないし有害懸念成分」の数値がスイッチした人では5日後に低くなったことを示した。これらの減少は90日後も続き、禁煙した人とほぼ同様のレベルだった。

 また、最近、英国セント・アンドリュース大学のステフェンス博士が、3種類のたばこの平均生涯発がんリスクを、公表された各たばこの放出物の化学分析データと各々を吸入した場合のがんリスクデータとを用いて推定し、加熱式たばこは電子たばこよりは大きいものの紙巻きたばこに比べると2桁近く少ないとした(Tobacco Control誌2017年8月4日電子版)。なお、電子たばこに関しては、イングランド公衆衛生局が「紙巻きたばこよりも95%安全である」とする報告書を2015年に公表している。

禁煙効果は研究途上

 国際的団体が作成する系統的評価として質の高さに定評がある「コクランレビュー」は、2016年に電子たばこの禁煙効果を取り上げた。2つの臨床試験を統合して、ニコチンを含む電子たばこではニコチンを含まないタイプに比べて6か月間の禁煙成功率は有意に高いとする一方、ニコチンパッチと比較して有意差はなかったとした。

 ニュージーランドの臨床試験では6か月後の禁煙割合は電子たばこ群で7.3%(289人中21人)、ニコチンパッチ群で5.8%(295人中17人)で、有意差はなかったものの電子たばこがやや効果的と示唆する結果だった。ニュージーランドでは現在新たな臨床試験を実施中である。

 加熱式たばこも、電子たばこと同様に禁煙効果があるだろうが、確認するには加熱式たばことニコチンパッチとを比較する臨床試験をする必要がある。

紙巻きたばこに誘い込むとの懸念は不要

 電子たばこが紙巻きたばこへの入口となるのではないかという「ゲートウェイ効果」に関しては、   ・・・続きを読む

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「加熱式タバコ」は若年層を「喫煙者」にする

「加熱式タバコ」は若年層を「喫煙者」にする

https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20171004-00076533/

10/4(水) 13:00

 先日、横浜市の母親が、加熱式タバコ(※1)を「まだまし」と当時18歳の娘に吸わせた疑いで書類送検された。母親は紙巻きタバコを止めない娘の健康をおもんぱかって加熱式タバコを買い与えたらしい。

 容疑は「未成年者喫煙禁止法違反(親権者の不制止)」。皆さん、ご承知の通り、同法により喫煙は20歳から、となっている。加熱式タバコも例外ではない。

加熱式タバコは健康を害するか

 実は、加熱式タバコは紙巻きタバコより「まだまし」かどうか、はっきりとした結論はまだ出ていない。成分によっては加熱式タバコのほうが紙巻きタバコより有害、という研究もある。また、葉タバコを使う加熱式タバコには、中毒性があることがわかっているニコチンも入っているから、ニコチン中毒から逃れられるわけではない。さらに、加熱式タバコによる受動喫煙の健康被害も指摘されている。

 例えば、加熱式タバコから出る煙には、無視できない有害物質が含まれる、というデータがある(※2)。スイスのベルン大学の研究者がフィリップ・モリス社の加熱式タバコ「iQOS(マルボロ・レギュラー)」から出る煙の成分を分析したところ、紙巻きタバコ(ラッキーストライク・ブルー・ライト)と同じ有害物質(一酸化炭素、多環式芳香族炭化水素、揮発性有機化合物など。ニコチンは紙巻きタバコの84%)が出ていた。また、WHOは受動喫煙を防ぐために「電子タバコも禁煙エリアでの使用は禁止すべき」としている。

 ただ、20歳未満の娘に加熱式タバコを吸わせた横浜市の母親が健康への影響を「まだまし」と考えたように、タバコ会社の宣伝効果やマスメディアでのアナウンス効果などにより、世間一般にこうした思考が広がり始めているのは確かだ。また、紙巻きタバコから乗り換えて次第に禁煙させる「ハーム・リダクション(※3)」の効果を加熱式タバコに求めようとする研究者も多い。

 このハーム・リダクションの考え方は、すでに重症の喫煙者に対して期待するものだ。禁煙したくてもできない喫煙者が、加熱式タバコを経てタバコを止める、という行動変容の傾向は確かにある。

 だが、まだ喫煙したことのない未成年者の場合はどうだろうか。冒頭で紹介した18歳の娘はすでに紙巻きタバコを吸っていたが、健康への害が少ない、という一般の風潮を真に受け、加熱式タバコに手を出し、さらにそれが本格的な紙巻きタバコの喫煙へと重症化することはないのだろうか。

加熱式タバコは若年層の喫煙率を上げる

 これについてはいくつかの研究が出ている。米国ミシガン大学の研究者が高校生を対象に調査したところ、電子タバコ(葉タバコを使わず、エアゾルを吸い込むタイプ。日本の加熱式タバコではない)を吸引した使用者は、電子タバコを経験しなかった喫煙者よりも翌年に紙巻きタバコを吸う割合が4倍多いことがわかった(※4)。

 また、カナダのウォータールー大学の研究者が7歳から12歳の生徒を対象にして調査したところ、電子タバコ(同上)の経験者が紙巻きタバコに移行する割合はそうでない者より2.16倍高いことがわかった(※5)。この調査では対象者の約10%が電子タバコの経験者だった。ちなみに、同大があるカナダ・オンタリオ州では2016年から19歳未満への電子タバコの販売が禁止されている。

 この二つの調査は、北米で吸引されているベイパータイプの電子タバコだが、日本で急速に普及しつつある加熱式タバコにも通じる可能性のある結果だろう。つまり、若年層が加熱式タバコや電子タバコに手を出せば、高確率でその後、紙巻きタバコへ移行する、というわけだ。このことについて政治や行政はよく認識しておく必要がある。

※1:加熱式タバコ。加熱式電気タバコとも。JT(日本たばこ産業)の「プルーム・テック」、フィリップ・モリス・インターナショナルの「iQOS」、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの「gloo」などがある。このタイプの加熱式タバコは、紙巻きタバコに使われている葉タバコを加熱して吸引する(プルーム・テックは直接加熱しない)。タバコ葉は薬物指定されていないため、葉タバコを使った製品を製造販売・輸入することは可能だ。一般的に「電子タバコ(Electoronic cigarette、E-Cigarette)」と呼ばれるものは、専用の溶液を加熱させてエアゾルを発生させ、そのエアゾルを吸引するタイプを言う。この溶液は、ニコチンが入っているものと入っていないものがあるが、日本でニコチン自体は薬物に指定されているため、ニコチン含有溶液は許可を受けずに輸入したり販売したりできない。だが、ニコチン含有溶液は、ネット通販などで入手可能のようだ。ニコチンの入っていない溶液にも有害物質が含まれている、という報告もある。

※1:2015年に行われた日本の15歳から69歳の男女を対象にしたインターネット調査によれば、その約半数が加熱式タバコと電子タバコの存在を知っており、6.6%が使用したことがあると回答している。Takahiro Tabuchi, Kosuke Kiyohara,Takahiro Hoshino, Kanae Bekki, Yohei Inaba, Naoki Kunugita, "Awareness and use of electronic cigarettes and heat-not-burn tobacco products in Japan." ADDICTION, Vol.111, Issue.4, 2016

※2:Ret Auer et al., "Heat-Not-Burn Tobacco Cigarettes:Smoke by Any Other Name." JAMA Intern Med. May 22, 2017

※3:合法非合法を問わず、健康被害や危険をもたらす行動や習慣(飲酒や喫煙、ギャンブル、薬物など)をやめることができないとき、その行動や習慣にともなう害や危険をできるかぎり少なくすること。

※4:Richard Miech, Megan E Patrick, Patrick M O'Malley, Lloyd D Johnston, "E-cigarette use as a predictor of cigarette smoking: results from a 1-year follow-up of a national sample of 12th grade students." BMJ journals, Tobacco Control, 2017

※5:Sunday Azagba, Neill Bruce Baskerville, Kristie Foley, "Susceptibility to cigarette smoking among middle and high school e-cigarette users in Canada." Preventive Medicine, Vol.103, 2017

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米喫煙者660万人の「早死に」、電子たばこで回避も=調査

米喫煙者660万人の「早死に」、電子たばこで回避も=調査

https://jp.reuters.com/article/tabacco-idJPKCN1C80KW

October 3, 2017 / 4:31 PM

[ロンドン 2日 ロイター] - 米ジョージタウン大学医療センターなどの科学者チームが実施し「タバコ・コントロール」誌に掲載された研究で、喫煙者が従来のたばこから電子たばこに切り替えれば、今後10年間に米国で最大660万人の早死にが回避できる可能性があることが分かった。

科学界では、電子たばこが禁煙治療に有効かどうかなどで意見が分かれている。今回の研究を行った科学者らは、電子たばこをたばこ喫煙を終わらせる方法の1つに位置付けるべきとしている。

調査によると、電子たばこに切り替えた660万人の伸びた寿命の合計が8670万年に達した。

研究を共同指導したジョージタウン大学医療センターのデービッド・レビー氏は「従来の政策に、致死率のはるかに低い電子たばこ使用を推奨する政策を補う必要がある」と述べた。

調査では、最悪と最良のシナリオを使って、米国でたばこが電子たばこに切り替わった場合の公衆の健康への影響をモデル分析。その結果、最も悲観的なシナリオにおいても160万人、最も楽観的なシナリオでは660万人について、若年の死亡が回避できたという。

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加熱式たばこに増税案急浮上、当惑するメーカーの本音

加熱式たばこに増税案急浮上、当惑するメーカーの本音

2017年09月26日 06時00分更新

 たばこメーカーにとって寝耳に水だった。「たばこ税の議論は毎年のことだけど、急に加熱式をやり玉に挙げてくるとは……」。

 2018年度税制改正で、加熱式たばこの課税見直しに向けた検討が行われている。自民党の宮沢洋一税制調査会長が7日に表明したものだが、「会長の発言は唐突で、いまだ議論の方向性が分からない」とメーカー各社は当惑気味だ。

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 加熱式は、「パイプたばこ」に分類されており、重量を基に紙巻きたばこの本数に換算して税額が決められている。各商品によって税率が異なり、紙巻きよりも税額が低いことは、以前から問題視されていた。

 20年までに加熱式のシェアが30%になるという予測もある。シェアが伸びているのに税額は低い。そんな加熱式に課す税を増やし、たばこ税全体の減収を避けようという狙いが税制見直しの背景にあるとみられる。

 加熱式の増税はメーカーにとって足かせとなる。たばこ税は「消費者に負担してもらうのが本来の趣旨」(メーカー関係者)ではあるが、増税分をたばこ価格に転嫁すれば、加熱式の普及に水を差すことになりかねない。一方、増税分を値上げでなくコストとして吸収すれば、「加熱式は設備投資が多く、収益は圧迫される」(同)という。

 メーカーの本音は、加熱式の課税区分を作った上で「紙巻きより税額を低くしてほしい」(別のメーカー関係者)というものだ。

 例えば、電子たばこは、英国では保健省が紙巻きより健康影響が少ないとの見解を示しており、禁煙に向けたツールなどとして公に有用性が認められている。同様に、加熱式も健康影響が少ないものとして、紙巻きより税制上優遇することで、加熱式へのシフトを誘導してもらいたいというのだ。

 それを主張するためのネックは、加熱式がいまだ「明確に“健康への影響が少ない”と臨床レベルで証明できていない」(同)ことだ。

規制議論でも冷や水

 増税以外にも、加熱式を取り巻く環境は厳しくなりつつある。

 東京都議会では、飲食店などでの禁煙を課す受動喫煙防止条例案と、子供を受動喫煙から守るために家庭内などでの禁煙の努力義務を課す条例案の二つが制定に向けて議論されている。先行して提出された子供保護の条例案では、加熱式も規制の対象になっている。

「今後続く受動喫煙防止条例などでの議論にも影響を与えるだろう」と岡本光樹・都民ファーストの会副幹事長は言う。衆議院解散で国会への受動喫煙防止法案提出は先送りされる見通しだが、同法案で加熱式の扱いは「保留」となっている。都条例で世論が醸成されれば、国レベルでも加熱式を規制対象とする動きになり得る。

 ブームに火が付いた加熱式に、増税と規制の議論の双方が冷や水を浴びせている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)

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電子タバコにまつわる「企み」の兆候とは

電子タバコにまつわる「企み」の兆候とは https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20170828-00075049/

石田雅彦  | フリーランスライター、編集者 8/28(月) 17:21

 米国トランプ政権のFDA(食品医薬品局)が、7月28日にタバコの「ニコチン量規制案」を発表した。規制案によれば、タバコに含有されるニコチンの割合を中毒性がない量まで引き下げなければならない。この発表の結果、米国のフィリップ・モリス・インターナショナルを傘下に持つアルトリア・グループや英国のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)など、タバコ会社の株価がウォールストリートで大きく値を下げて話題になった。

ニコチン規制はタバコ会社の息の根を止めるか

 これについて、スタンフォード大学の科学史教授、ロバート・N・プロクター(Robert N. Proctor、※1)は英国の医学雑誌『BMJ』に寄稿し(※2)、依然として世界で巨額な収益を上げているタバコ会社にとって、今回のFDAのニコチン規制案は大打撃になるはずだ、と書いている。

 寄稿の中でプロクターは、タバコ企業が現在作っている紙巻きタバコの重さにおける1%から2%というニコチンの含有量(※3)は、喫煙者を満足させ、中毒を引き起こしてタバコをやめられなくさせるための絶妙な分量(スイートスポット)だ、と言っている。FDAの「狙い」は表向き、喫煙の習慣がニコチン中毒にあることを国民へ広く知らしめることだ。

 WHOや各国政府の保健衛生部門、禁煙団体などとの間で長年、綱引きしてきたタバコ企業にとって、この割合が1/10でも引き下げられ、これ以下のニコチン含有量になってしまえば、喫煙者をニコチン中毒にできず、紙巻きタバコに惹きつけ続けておくことは難しいだろう。

 もちろん、タバコの中毒性は、ニコチンによる身体的な作用のみならず、心理的社会的な影響も大きい。だが、ニコチンの量を減らさなければならなくなれば、かつて紙巻きタバコにアンモニアを含ませて中毒性習慣性を高めていたような、何かしらの策をタバコ企業が弄してくることも予想される。

 タバコ企業にはタバコの中毒性や健康被害を知りつつ隠蔽してきた「前科」があるから、この予測も全くあり得ない話ではない。一方、トランプ大統領が任命したスコット・ゴットリーブ(Scott Gottlieb)FDA長官には、リキッド揮発性電子タバコ、いわゆる「VAPES」(※4)の製造企業との利益相関も取りざたされている。

 また、タバコ企業の側はFDAの規制案に対し、ニコチンの含有量が減れば、禁酒法時代のようなことが起き、違法な取引が横行するだろうと批判してもいる。だが、プロクターはこれに対し、ニコチンパッチやニコチンガムなど、ニコチンを摂取できる合法的な手段はあるのだから心配ない、と反論した。

電子タバコ研究を支援するタバコ会社

 日本に限らず、世界的に紙巻きタバコに対する風当たりは増すばかりだ。こうした流れを受け、フィリップ・モリス・インターナショナルが紙巻きタバコからの将来的な撤退を示唆するなど、大手タバコ企業は電子タバコ(電気式加熱タバコ)へシフトしつつある。

 FDAの「ニコチン規制案」は、段階的に行われるであろうタバコ規制の第一段階であり、ニコチン規制の代わりに「安全」な電子タバコの開発に時間的余裕を与えるため、電子タバコに対する規制の予定を遅らせる、とも発表している(※5)。

 おそらく、ここ最近よく学術誌に発表されている電子タバコの「ハームリダクション(Harm Reduction)」の効果、つまり禁煙へ移行する手段として電子タバコの使用が有効なのではないか、という疫学研究(※6)もFDAの計画変更に一定の影響を与えているのだろう。ちなみに、電子タバコのハームリダクションについては、禁煙外来にはニコチン代替治療薬などがあり、わざわざ電子タバコを利用して禁煙しなくてもいい、という意見もある。

 そのせいもあり、タバコ会社による「電子タバコ販売戦略」と「イメージ戦略」はかなり奏功している。たとえば、つい最近の論文には、電子タバコは「ファッショナブルな先端技術がつめこまれた製品であり、紙巻きタバコよりも健康に害はない」というアンケート結果もあった(※7)。また、電子タバコが「禁煙へ移行する手段」とする論文の中には、タバコ会社から資金提供を受けて調査研究しているものも散見される(※8)。

 電子タバコについては議論がつくされていないし(※8)、電子タバコから出るエアゾルが、どれだけ吸っている本人や周囲で吸わされる人たちの健康へ被害を及ぼすのか、まだはっきりとはわかっていない。

 だが、ハームリダクションについて研究支援しているように、タバコ企業はその生き残りを電子タバコに賭け、様々な方策をたててきている。電子タバコ規制を先送りした今回のFDAのニコチン規制案にも、タバコ企業から何らかの影響が及んでいる可能性もあるのだ。

※1:タバコにアンモニアが添加されることで中毒性を高めているのではないか、というタバコ企業の製造法について1999年に証言した(ペンシルベニア州立大学教授時代)。政治的や文化的な理由で意図的に作られた「無知、アグノトロジー(Agnotology)」という概念を提唱している。

※1:T Stevenson, R Proctor, "The secret and soul of Marlboro. Philip Morris and the origins, spread, and denial of nicotine free basing." American Journal of Public Health, 2008, 98(7):1184-94, 1, August, 2008

※2:Robert N. Proctor, "FDA’s new plan to reduce the nicotine in cigarettes to sub-addictive levels could be a game-changer." BMJ, Vol.26, Issue5, 2017

※3:例えば、JTの「メビウス」のニコチン量は0.8mg/1本。

※4:「VAPE」とも。フレーバーのある各種リキッドを電気的に加熱して吸い込むタイプの電子タバコ。ニコチン入りリキッドもあり、ネット通販などで入手可能。リキッドではなくタバコ葉を使うJT(日本たばこ産業)の「プルームテック」も一種のVAPE式電子タバコ。

※5:2016年8月時点で新たに規制されたタバコ製品の審査申請提出期限を2021年以降に延長する、という案。

※6:Shu-Hong Zhu, Yue-Lin Zhuang, Shiushing Wong, Sharon E Cummins, Gary J Tedeschi, "E-cigarette use and associated changes in population smoking cessation: evidence from US current population surveys." the BMJ, 358, 26, July, 2017

※6:Max W Y Lam, Nelson W Y Leung, Baker KK Bat, Gary K S Leung, Kelvin K F Tsoi, "Real-time data capture with electronic cigarettes for smoking cessation programme: a cloud platform for behavioural research." BMJ, 31, July, 2017

※7:A. Daniluk, et al., "Electronic Cigarettes and Awareness of Their Health Effects." Advances in Experimental Medicine and Biology, 12, August, 2017

※8:Nathan Gale, Mike McEwan, Alison C. Eldridge, Neil Sherwood, Edward Bowen, Simon McDermott, Emma Holmes, Andrew Hedge, Stuart Hossack, Oscar M. Camacho, Graham Errington, John McAughey, James Murphy, Chuan Liu, Christopher J. Proctor and Ian M. Fearon, "A randomised, controlled, two-Centre open-label study in healthy Japanese subjects to evaluate the effect on biomarkers of exposure of switching from a conventional cigarette to a tobacco heating product." BMC Public Health, 22, August, 2017

※9:Ashley Sanders-Jackson , Andy S. L. Tan, Cabral A. Bigman, Susan Mello, Jeff Niederdeppe, "To Regulate or Not to Regulate? Views on Electronic Cigarette Regulations and Beliefs about the Reasons for and against Regulation." PLOS ONE, 12, August, 2016

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「加熱式たばこ」増税検討

「加熱式たばこ」増税検討

9月7日(木)

自民党の宮沢税制調査会長はきょう、来年度の税制改正で加熱式たばこの増税を検討する考えを示しました。現状では、加熱式たばこは通常の紙巻きたばこよりも税負担が軽くなっています。また、宮沢氏は、所得税について、現行の控除制度は「所得の高い人の負担軽減につながっている」と指摘し、所得控除制度の見直しに意欲を示しました。

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電子たばこで禁煙成功率向上、約16万人の全米調査で判明

電子たばこで禁煙成功率向上、約16万人の全米調査で判明

井手ゆきえ [医学ライター]

 電子たばこの健康リスクに関しては結論は出ておらず、各国の政策もバラバラだ。

 たとえば英国では、ニコチンリキッドを使う電子たばこが禁煙補助剤として利用されている。一方オーストラリアでは、ニコチンリキッドの販売自体が全面的に禁じられている。

 米国食品医薬品局の対応は、その中庸をいくもので、紙巻きたばこ同様に18歳未満への販売を禁止し、包装紙に健康に関する警告を表示するよう指示を出している。

 ところがこの電子たばこ、米国で「紙巻きたばこの禁煙」を後押ししているらしい。

 米国では2010年ごろから電子たばこの利用者が爆発的に増加。現在は全喫煙者のうち、15~30%が電子たばこを利用していると推測されている。

 米カリフォルニア大学の研究グループは、14~15年の全米たばこ調査(CPS-TUS)のデータを基に、電子たばこ利用者と禁煙との関連を分析。約16万人の回答者のうち、直近の1年間に電子たばこを利用した人のほうが、禁煙成功率が高い傾向を認めた。

 この場合の禁煙成功とは、3カ月間は紙巻きたばこを吸わずに済んだケースを指し、禁煙成功率は電子たばこ利用者8.2%に対し、非利用者4.8%。さらに電子たばこ普及以前と以後では、調査対象の集団の禁煙成功率も有意に向上していることが判明している。

 研究者は電子たばこの普及が禁煙成功率に影響したと指摘し「たばこ政策立案の際に、慎重に検討すべき知見だ」としている。

 日本でも電子たばこがじわじわ市民権を得つつある。海外の調査・研究結果を総合すると、電子たばこは、喫煙経験がない若年層で「喫煙の入り口」になるリスクがある一方、筋金入りの喫煙者の「禁煙」を補助する役割が期待できるようだ。禁煙したい人は、英国式に禁煙補助剤として電子たばこを利用する方法もありだろう。

 一方、電子たばこの受動喫煙リスクは未だ不明のままだ。白黒がつくまで、紙巻き、電子にかかわらず非喫煙者や子どもから確実に離れて一服すること。この場合は「推定有罪」が正しい。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

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え~電子たばこ爆発、ロンドンの主要駅で避難騒動

え~電子たばこ爆発、ロンドンの主要駅で避難騒動 https://www.nikkansports.com/general/news/1879943.html

[2017年8月30日9時32分]

 英交通警察によると、ロンドン中心部の主要ターミナル駅ユーストンで29日夜、小規模な爆発があり、利用客らが避難する騒ぎがあった。負傷者などはないもよう。同警察はバッグの中にあった電子たばこが爆発したとみて調べている。
 電子たばこが爆発を起こした理由など詳細は不明。同駅は爆発物の捜索のため一時閉鎖された。
 英メディアによると、乗客がパニックとなって駅から逃げ出す姿も見られたという。(共同)

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電子たばこに禁煙効果はあるか? 調査結果で高まる期待

電子たばこに禁煙効果はあるか? 調査結果で高まる期待

Forbes JAPAN9月3日(日)11時30分
電子たばこは長期的な禁煙に効果があるのか?体への害はあるのか、あるとすれば従来のたばことの違いはどの程度か?子供たちへの影響は?──電子たばこが登場して以降、公衆衛生の分野や学術界では、その価値とリスクに関する激しい議論が戦わされてきた。
これらの人たちの間で意見の一致が見られるようになるまでには、まだ時間がかかるだろう。合意を得られるだけの十分に質の高い研究が、十分に行われなくてはならない。だが、冒頭に挙げた最初の質問については、同意が得られ始めている。電子たばこは、禁煙に効果的なツールになり得るようだ。
使うほど効果も大きく
たばこに関する専門誌「ニコチン・アンド・タバコ・リサーチ」に8月31日に発表された新たな調査結果では、禁煙効果に違いをもたらすのは何なのか、禁煙目的での電子たばこの使用が最も高い効果を上げるのはどのような人たちなのか、といった点が明らかにされた。
健康や行動に関するその他の研究と同じように、電子たばこの禁煙効果は使用する人やその人の置かれている状況によって大きく異なる。だが、いずれもたばこ業界とは無関係の国立薬物乱用研究所(NIDA)と米国立がん研究所(NCI)が支援し、過去のその他の調査に比べてかなり詳細な分析が行われた今回の調査から分かったのは、「電子たばこを使用する頻度が高くなるほど、禁煙に成功する可能性は高くなる」ということだ。
調査を行ったジョージタウン大学ロンバルディ総合がんセンターのデービッド・レビー博士らによれば、「電子たばこを過去1か月間に20日以上使用した人たちの間では、禁煙を試みた人の割合、3か月以上の禁煙に成功した人の割合が高くなっていた」。
調査に使用したのは、米国政調査局が実施した2014〜15年人口動態調査に含まれる喫煙に関する補足調査で収集されたデータだ。喫煙者2万3633人のうち1万973人には、少なくとも一度は禁煙を試みた経験があったものの、8419人が失敗していた。また、このうち少なくとも3〜12か月にわたって禁煙に成功していた人は、1596人だった。
レビー博士らは、こうした人たちの電子たばこの使用の有無や使用頻度などについて分析を実施。その際には、各州のたばこの平均価格や関連法、喫煙本数、性別、年齢、人種、婚姻の有無、学歴、雇用状況、収入、居住地など、喫煙に関連があると見られるさまざまな要因を考慮し、禁煙の成功と失敗との関連性を明らかにした。その結果、電子たばこを使用する日が1日増えるごとに、禁煙に成功する確率は5%近く上昇することが分かった。
一方、こうした電子たばこの禁煙効果については、2010年にも同様のデータを基にした調査結果が発表されており、あまり効果はないとする結果が示されていた。だが、当時の電子たばこは現在販売されている製品に比べて吸引できるニコチン量が少ないなど、品質の面で劣っていたことの影響があると見られている。
電子たばこによって禁煙を実現できるのはどのような人たちなのか、どのような使用方法が最も効果的なのか、今後さらに明らかにしていく必要がある。だが、これまでその他の方法では禁煙ができなかった人たちにとっても、電子たばこは効果的な選択肢だといえそうだ。

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