電子たばこ

その「害」は確実にある──「加熱式タバコ」を専門家に詳しく聞いてみた

その「害」は確実にある──「加熱式タバコ」を専門家に詳しく聞いてみた


https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20190325-00119399/


石田雅彦 | ライター、編集者 3/25(月) 8:00


 


 アイコス(IQOS)などの加熱式タバコについて、「害がない」「禁煙に役立つ」といった情報を耳にするようになってきた。従来の紙巻きタバコからこれらの「新型タバコ」へ切り替えたり、併用したりする喫煙者も多い。実際のところ、加熱式タバコの影響はどんなところにどんなふうに出てくるのだろうか。新型タバコに関する著作(『新型タバコの本当のリスク』)もある専門家に聞いてみた。


いつの間にか広まりつつある加熱式


 国の法改正として改正健康増進法に受動喫煙防止が加えられ、東京都や大阪府、千葉市など各自治体でも国の規制より厳しい内容を盛り込んだ受動喫煙防止条例が施行されつつある。喫煙環境が狭められる中、加熱式タバコが話題になり、メディアなどでも多く取り上げられるようになってきた。


 タバコを吸わない人はあまり知らないかもしれないが、加熱式タバコは、電気で加熱するデバイス部分、そしてタバコ葉を巻いたり充填したりしてフィルターを付けるなどしたスティック部分に分かれる。デバイスは3社から9種類も出ていて、それらに使用する専用タバコ(タバコ葉を使ったスティック部分)は、それぞれ2~3ブランド、味付けなどでさらに数種類ずつが販売されている(2019年3月)。


 デバイスの中にはすでに流通から排除されて入手が難しいものもあるが、9種類のデバイスはどれも専用タバコを差し込めば今でも吸うことが可能だ。加熱式タバコにこれほど多くの種類が出ていることに驚かされるが、喫煙者にとっては多種多様な製品群の中から自由に選ぶことのできる環境が整い始めていることになる。


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フィリップ・モリス・インターナショナル、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、JT(日本たばこ産業)3社から発売されている加熱式タバコのデバイス(上段)と専用タバコのブランド名と価格。専用タバコには味付けごとにさらに数種類がある。表組み筆者作成(2019年3月)



 加熱式タバコは、確かに紙巻きタバコより煙も匂いも少ない。逆にいえば、それだけ「ステルス性」の高い製品ということで、気付かないうちに本来ならタバコを吸うことができない場所へ入り込んでいるのかもしれない。こんな状況について、いつの間にか地球外生物に侵略されていたというSFをイメージするのは筆者だけだろうか。


 新型のタバコについては、タバコ対策を研究している公衆衛生学の専門家の多くが危惧を抱いている。禁煙外来で治療をする医師も、患者から加熱式タバコについて質問され、明確に回答できないこともあるようだ。


加熱式タバコに受動喫煙の「害」はある


 タバコ問題や健康格差について多くの論文を国際的な医学雑誌に発表している田淵貴大医師は、タバコ対策の専門家として豊かな見識と深い洞察力を持っている研究者だ。


 最近、加熱式を含む新型タバコについて解説した「世界初」の一般書籍『新型タバコの本当のリスク』(内外出版社)を上梓したが、その中では、加熱式タバコがなぜ日本だけで広がったのか、その有害性や社会的影響、使っている人や使おうとしている人、周囲の人への対処法の指南まで明確に述べている。そんな田淵医師に加熱式を含む新型タバコについて聞いた。


──新型タバコ、特にアイコスのような加熱式タバコを吸う人を多く見かけるようになってきましたが、なぜこんなに広まったのでしょうか?


田淵「日本人のガジェット好きが原因の一つだと指摘されています。アイコスは2016年4月にテレビバラエティ番組の『アメトーーク!』で紹介されて、劇的に認知されるようになりました。私も『アメトーーク!』に影響されて電化製品や漫画本を買ったりしていますので、『アメトーーク!』の影響力はすごいと改めて実感しました。さらには、ニコチン入りのリキッドを使う電子タバコが法律で禁止されていることで、加熱式タバコの競合製品である電子タバコが日本では売られていないことも加熱式タバコが日本でブレークした一つの原因だと思います」


──日本の喫煙率はおおむね下がってきていますが、女性と20代男性、高齢者が引き下げていて中年男性の喫煙率はあまり下がってきていないようです。加熱式タバコはこの傾向にどのような影響を与えていると考えられますか?


田淵「加熱式タバコに手を出してしまうと、禁煙しにくくなってしまう可能性があるんです。インターネット調査プロジェクトJASTIS研究によると、今、タバコを吸っている人が禁煙したいと思ったときに、禁煙する方法で最も多かったのが『加熱式タバコに替える』というものでした。しかし、加熱式タバコに替えても、結局は紙巻タバコとの併用になってしまって止められないという人が多くいるようなんです。もちろん、詳しく調査して分析してみなければわかりませんが、加熱式タバコが日本人の喫煙率の動向に影響しているのは間違いないと思います」


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田淵医師は、アンケート調査などで「タバコを吸っていますか」と聞くだけでは実態が分からなくなったと指摘する。加熱式タバコはタバコではないと認識している人がいるからだ。喫煙率の低下傾向がある中、こうした喫煙者の認識や加熱式タバコの普及の影響、タバコを吸っているとは答えにくい状況などを全て考慮しないと喫煙率を正確に知ることができない。写真提供:田淵貴大



──加熱式タバコには受動喫煙の被害がないという誤った考え方が表れ始めているようですが、受動喫煙の害の危険性が極めて低ければ、受忍できるものでしょうか?


田淵「確かに、加熱式タバコからは副流煙(吸わない時もタバコの先端から出る煙)が出ませんから、受動喫煙の程度は低いかもしれません。ただし、これは紙巻タバコによる受動喫煙と比較した場合は、という"条件付き“です。加熱式タバコからも紙巻タバコと同様に多くの種類の有害物質が出ていますから、受動喫煙の害はあるかないかでいえば確実に“ある”です。今まで禁煙だったのに、加熱式タバコならOKとはできません。ただし、紙巻タバコの煙が充満していた環境が、いったん加熱式タバコに切り替わるのなら、経過措置としてはマシだと言えるかもしれません。いずれにせよ、ゆくゆくは加熱式タバコも屋内で使ってはダメですよとするべきですね。有害物質はソファーなどに付着して何年も蓄積するとわかっていますから」


──いわゆるハーム・リダクションに加熱式タバコを利用することに対し、お考えをお聞かせください。


田淵「ハーム・リダクションとは、簡単に言うと、大きな害のある行動をそれよりも小さな害の行動に置き換えることによって、害は完全にはなくせないが、害を少なくさせることです。タバコ問題の場合のハーム・リダクション戦略として、どうしてもタバコを止められない人に対して、タバコの代わりに害の少ないタバコを吸ってもらったら、有害物質への曝露を減らせるのではないか、というわけです。しかし私は、これまでの客観的・科学的な知見に基づき、加熱式タバコによる本人への健康被害は紙巻タバコとほとんど変わらないのではないかと予測しています。一方で、加熱式タバコでは吸引することとなる有害化学物質が紙巻タバコよりも少ない、という点に着目して、“ハーム・リダクション(害の低減)”として加熱式タバコが活用できるのではないかと訴えている医師もいます。ただ私は、このハーム・リダクション戦略がうまくいくとは考えていません。なぜなら、ハーム・リダクションとなるためのそもそもの前提事項である『加熱式タバコは紙巻タバコよりも害が少ない』ということが間違いではないかと考えているからです。米国の専門家の多くも、私と同じ意見のようです」


ラインナップはどんどん増えるだろう


──現在、加熱式タバコはタバコ3社から出ていますが、種類も増えてきているようです。今後、タバコ会社が進めていく戦略として、加熱式タバコのラインナップはどのようになっていくと考えられますか?


田淵「加熱式タバコだけでなく、電子タバコも含めた新型タバコのラインナップがどんどん増えていくものと予想されます。すでにフィリップモリス社は、“アイコス”ブランドから加熱式タバコだけでなく、電子タバコをリリースするとの情報が入ってきています。従来からタバコ会社は“タバコが何かわかりにくくする”という戦略をとってきており、“アイコス”とだけいっても、それはどのタバコなのかはっきりしなくなってしまうという未来が来ます。タバコや新型タバコの使用状況に関する実態把握が今後さらに困難になると考えられます」


──タバコ会社の中には紙巻きタバコの事業から将来的に撤退する、と明言しているところもありますが、世界的に喫煙率が下がり続け、健康への害も広く周知され、こうした状況でタバコ会社は遠い将来にはなくなるのでしょうか?


田淵「なくなって欲しいですね。本来なら、タバコ製品の有害性が実証され確認された1960年代の時点で、なくなるべきでした。タバコは紙巻タバコの大量生産技術の発展とともに1900年頃から広く普及しましたが、タバコの有害性が証明された1960年頃の時点で利権構造が巨大すぎて、タバコは有害だとわかったのに禁止できませんでした。それから50年以上たった今でも利権構造は維持され、残念ながら、すぐにはタバコを禁止できそうにありません。タバコの人への大きな害は十分に実証され、こんなに有害物質を含んでいると明らかになっているにも関わらず、合法的に社会に出回っている唯一のものがタバコです。人を大切にする社会を作っていくために、その第一歩として、まずタバコのない社会を目指していきたいと思っています」


 田淵医師の発言をまとめれば以下のようになる。



  • アイコスが広まったのはテレビ番組「アメトーーク!」のせいだった

  • ニコチン入り電子タバコが規制されているから加熱式タバコの競合がなかった

  • 紙巻きタバコとの併用となることが多く、加熱式タバコでの禁煙は難しい

  • 喫煙率の調査が難しくなるなど、タバコ対策に影響が出ている

  • 受動喫煙の「害」は確実に「ある」ので、将来的に加熱式タバコも全面的に禁止すべき

  • 加熱式も紙巻きタバコも同じ危険性がある以上、ハーム・リダクションは認められない

  • タバコ会社はタバコの定義をわかりにくくし、実態把握をしにくくする戦略を採っている

  • タバコ利権は有害性がわかっても長く残存したが、今後はタバコのない社会を目指すべき


 ところで、総務省消防庁は火災予防の観点から、タバコ3社に対してオブザーバー参加を要請し、加熱式タバコによる発火試験などのデータを提供させている。筆者の意見としては、電気製品である加熱式タバコのデバイスに対し、消費者庁などの官庁が有害物質の発生機器として厳しく規制し、製造メーカーに対して専用タバコ部分から発生する物質の安全性の証明義務を負わせるべきだと思う。


 タバコ会社は加熱式タバコについて、従来の紙巻きタバコとは違うとPRしている。であれば、同じように、たばこ事業法と財務省の管轄とは違う解釈で加熱式タバコのデバイスを規制するべきではないだろうか。


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田淵貴大(たぶち・たかひろ)


医師・医学博士。専門は、公衆衛生学(社会医学)・タバコ対策。1976年生まれ。2001年3月、岡山大学医学部卒。血液内科臨床医として勤務の後、大阪大学大学院にて公衆衛生学を学ぶ(2011年、医学博士取得)。2011年4月から大阪国際がんセンターがん対策センター勤務。現在、同がん対策センター疫学統計部の副部長。大阪大学や大阪市立大学の招聘教員。著者としてタバコ問題に関する論文を多数出版。一般書籍として2019年3月に『新型タバコの本当のリスク』(内外出版社)を上梓。日本公衆衛生学会、日本癌学会など多くの学会で、タバコ対策専門員会の委員を務める。2016年、日本公衆衛生学会奨励賞受賞。2018年、後藤喜代子・ポールブルダリ科学賞受賞。現在、主にタバコ対策および健康格差の研究に従事。写真提供:田淵貴大


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退任間近の米FDA長官、未成年への電子たばこ普及阻止の情熱衰えず

退任間近の米FDA長官、未成年への電子たばこ普及阻止の情熱衰えず

ゴットリーブ長官はアルトリア、ジュールと「難しい」会合開いた
FDAはポッド式たばこ製品の一時販売停止を検討する可能性

10代の若者の電子たばこ利用急増対策に熱心に取り組む米食品医薬品局(FDA)のゴットリーブ長官は19日、ワシントンのブルッキングズ研究所で開かれたイベントで、メーカー側の米アルトリア・グループとジュール・ラブズの幹部と先週開いた会合で、両社と当局者の優先事項の間には「食い違い」があり、「難しい会合だった」ことを明らかにした。同長官は4月5日に退任の予定。

  アルトリアは昨年終盤、電子たばこメーカーのジュールの128億ドル(約1兆4300億円)相当の株式を取得。その際、両社は未成年者の電子たばこ普及を阻止する取り組みを強化すると約束していた。この取引に批判的なゴットリーブ長官は、回答を求めて両社を呼び出していた。

  同長官は未成年が電子たばこ利用でニコチン中毒になり得るリスクを「電子たばこ業界はあまりにも軽く考えている」とし、「現時点で爆発的に普及していることが分かっている」と発言。若者の電子たばこ利用者数の大幅増加が続いた場合、ポッド式たばこ製品を一時販売停止にする可能性に言及した。メーカー側が商品は未成年者向けではなく、禁煙を目指す成人の喫煙者向けであることを示すことができれば販売が再開される可能性がある。

  アルトリアの19日の株価終値は2.25%安の56.01ドルと、1月以来の大幅な下げとなった。

原題:FDA’s Departing Gottlieb Aims to Keep Heat on E-Cigarette Makers(抜粋)

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論争絶えない中国の電子たばこ、本当に害はないのか? 輸出が9割

論争絶えない中国の電子たばこ、本当に害はないのか? 輸出が9割
3/22(金) 18:00配信
【CNS】「中国有数の電気街」と称される中国・広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)華強北(Huaqiangbei)には、かつてVR(仮想現実)眼鏡やOEM携帯電話、スマート家電などの販売店が軒を並べていた。現在では、同地区に電子たばこの販売店が続々と増えている。「電子たばこ1本で従来のたばこ約40本分」「タールゼロ」「たばこを止められる」など多くの広告掲載が増え、電子たばこへの投資熱を物語っている。だが、電子たばこは本当に害はないのか。禁煙補助や、従来のたばこに代わるものになるのだろうか。

 中国国内には2018年時点で数十社の電子たばこに関する企業があり、ここ3か月間だけでも約10社の電子たばこブランドが設立するなど新興企業が目白押しだ。

「創業ブームの背景には、現在の電子たばこの市場浸透率が0.6%程度で、巨大な潜在市場が投資者を魅了している」と、電子たばこ会社を起業したある社長は言う。

 電子たばこの最大生産基地となっている深セン市では関連企業が500社近くあり、中国全土にある関連企業の約13%に相当する。

 データによると、中国国内の電子たばこ利用者は2017年で756万5900人、売り上げは40億900万元(約664億円)に達し、翌18年も利用者は急激に増えている。電子たばこの90%が国外へ輸出され、国内販売は6%にも満たない。国内の消費市場はさらなる開発が待たれるが、電子たばこをめぐる議論も長い間続いている。

 2015年に世界保健機関(WHO)が発表した報告によると、中国では毎日7億4000万人(うち児童の1億8200万人を含む)が、喫煙者によるたばこの煙などで第三者に悪影響を及ぼす「受動喫煙」の被害にあっている。中国では毎年100万人以上が喫煙関連の疾病で死亡しており、うち10万人以上が受動喫煙によるものだとされる。

 そのため中国政府は8年前から、公共施設の屋内や作業場、公共交通機関などの喫煙を全面的に禁止した。しかし近年、新興産業となった電子たばこは現行法の対象外で、多くの喫煙者が電子たばこを購入し公共の場所で楽しむ姿が見られている。

 また14年にWHOが発表した報告では、電子機器によるニコチン伝送システム(いわゆる電子たばこ)によって排出される煙の中に、従来のたばこに含まれる発がん性化合物やその他有害物質が含まっていることを指摘している。あるブランドは、これら有毒物質の含有量がたばこから発生する煙と同等に高いことも分かっている。

 北京控制吸煙(訳:たばこコントロール)協会(Beijing Tobacco Control Association)の張建枢(Zhang Jianshu)会長は、「電子たばこで気化剤として使われるプロピレングリコールや香料などは、人体に深刻な影響があるのか証明されていないが、決して健康的なものではない」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News

※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。

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妊娠中に目の前で「加熱式たばこ」を吸われ… 医師が指摘する子どもへのリスク

妊娠中に目の前で「加熱式たばこ」を吸われ… 医師が指摘する子どもへのリスク
森田麻里子
 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は、加熱式たばこ・電子たばこの子どもへの危険性について森田麻里子医師が「医見」します。

*  *  *
 ここ数年でかなり一般的になってきた加熱式たばこや電子たばこ。普通のたばこと違って受動喫煙のリスクがない、健康への悪影響が少ない、禁煙につながる、と思っている方も、いらっしゃるかもしれません。しかし実は、それは大きな誤解です。今回は、加熱式たばこ・電子たばこの危険性と、それに関連してリスクが高まる残留受動喫煙について解説したいと思います。

 たばこは子どもの健康にも大きな悪影響を及ぼします。例えば、妊娠中のママがたばこを吸っていると、胎児の発育が阻害されます。そして産まれた赤ちゃんの乳幼児突然死症候群のリスクは、オッズ比にして2倍以上になります。アメリカの乳幼児突然死症候群のケースのうち、22%はたばこが原因であると推定されているのです。また、喘息のある子が受動喫煙にさらされていると、入院するリスクがオッズ比にして2倍になります。また、親の喫煙が子どもの白血病のリスクを上昇させる可能性も指摘されています。

 加熱式たばこは、葉たばこを加熱することで、ニコチンを含んだ蒸気を発生させる仕組みです。確かに、たばこの3大有害物質「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」のうち、タールと一酸化炭素については、紙巻きたばこより低減されることがわかっています。しかし、ニコチンの量はほとんど変わりません。また、日本で販売されている電子たばこは、ニコチンを含まないフレーバーのついた液を加熱し、蒸気を発生させます。このような電子たばこにおいても、鉛・クロム・ニッケルなどの重金属やホルムアルデヒドの量は、紙巻きたばこより多い製品もあることが、世界保健機関(WHO)の報告書でも明記されています。加熱式たばこや電子たばこが健康にどのような影響を与えるのかは、長期間経ってはじめてわかってくるものです。いまの状態は、壮大な「実験」が行われているといっても過言ではありません。
 加熱式たばこや電子たばこが危険なのは、煙が出ない・見えにくいことや、健康リスクが少ないという誤解から、普通のたばこは吸えないような場所でも使われてしまう可能性があることです。例えば、私も妊娠中に、「加熱式たばこだから大丈夫」という間違った理由で目の前で加熱式たばこを喫煙されたことがあり、悲しい思いをしました。今月ハーバード大から発表された研究でも、その危険性が指摘されています。例えば、電子たばこを吸う人の場合、66.7%の人が家の中で紙巻きたばこを吸わないことにしていましたが、電子たばこについて同様のルールにしているのはわずか25.4%でした。

 たとえ目の前に子どもがいなくても、部屋の中や喫煙者の体に有害物質が残留し、結果的に子どもや他の非喫煙者にたばこの害が及ぶこともわかっています。これが、「残留受動喫煙(三次喫煙)」というものです。2004年にサンディエゴ州立大学から発表された論文では、子どもの目の前で親が喫煙していなくても、子どもの尿中のニコチン濃度は、喫煙者のいない家庭と比べて8倍になっていることがわかりました。

 さらにアメリカでは、妊婦さんや中高生にも電子たばこの使用が広がっています。アメリカ疾病管理予防センターがオクラホマ州とテキサス州で行った2015年の調査では、14人に1人の女性が妊娠中、またはその前後に電子たばこを吸っていたことがわかっています。アメリカの中高生の間でも、紙巻きたばこの喫煙が減っていたにも関わらず、電子たばこの使用が増えたため、たばこ使用率が上昇傾向となっています。

 加熱式たばこや電子たばこは普通の紙巻きたばこより軽く考えられがちですが、健康への影響がないわけでは決してありません。普通のたばこと同じように健康に悪影響があると理解して、そもそも喫煙するかどうか、また喫煙するとしたら、その場所は喫煙してよい場所なのかどうか、判断していただきたいと思います。

◯森田麻里子(もりた・まりこ)
1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

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加熱式もやはり有害=「タバコゼロ」目指し医師が総会

加熱式もやはり有害=「タバコゼロ」目指し医師が総会

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190314-00010000-jij-sctch

3/14(木) 17:10配信

 「タバコゼロ社会」を目指す日本禁煙推進医師歯科医師連盟学術総会が千葉市で開かれた。2020年の東京オリンピック・パラリンピックや25年の大阪万博を見据え、受動喫煙防止条例の制定を目指す自治体の動きが加速している。総会では、既に条例を制定している3自治体の関係者や禁煙運動を進める医師らが報告。加熱式たばこも紙巻きたばこと同様に有害だとした上で、誤った認識に警鐘を鳴らした。

 ◇東京都、20年に条例全面施行

 東京都では18年に、受動喫煙防止条例が成立した。岡本光樹議員は、都議会が条例をめぐり対立したが「小池百合子知事が、国がやらないのなら、都がやると決断した」と話した。都条例の特徴は、従業員を雇用している飲食店は屋内禁煙とする、幼稚園、保育所、小・中・高校の敷地内で原則禁煙としているなどの点だ。7月1日から学校や医療機関の敷地内禁煙が実施され、20年に条例を全面施行する予定だ。

 岡本氏は「大人がたばこを吸うのは、児童虐待の一種だ」とした上で、「加熱式たばこを吸いながらの飲食を認めている点が(都条例の)弱点だ」と指摘した。

 千葉市も20年に、受動喫煙防止条例の施行を目指す。国や県、市の事務処理施設で屋外の喫煙所設置を認めないという内容だ。山口淳一保健福祉局次長は「保護者に対し、子どもに受動喫煙を生じさせないよう努力義務を課した」と説明した。

 各自治体に先行して10年に条例を施行したのは神奈川県だ。18年に都条例と国の改正健康増進法が制定されたことを受けて、同県が「たばこ対策推進検討会」を開催するとともに、県民5000人と5000事業所を対象に調査を行った。健康医療局の前田光哉氏は「条例に対する県民の周知度が62・4%だった。施設では、宿泊施設の方が禁煙率が高く、小規模飲食店でも禁煙の方が多かった」と報告した。

 ◇紙巻きと変わらぬリスク

 喫煙の健康被害や禁煙治療などに携わってきた医師によるシンポジウムでは、「有害成分を大幅に削減」「周囲の空気を汚さない」などとたばこ会社がアピールしている加熱式たばこの有害性について、厳しい指摘が相次いだ。

 参加した産業医科大学の欅田尚樹教授は「吸収する有害成分の減少と健康被害が生じるリスクは比例しない。加熱式たばこと紙巻きたばこで健康リスクを比較すれば、ほとんど違いはない」と指摘。また、加熱式たばこで生じる霧状のミストに含まれている化学物質の総量自体は紙巻きたばこと大きな違いがないと報告した。

 これを受けて、大阪国際がんセンターがん対策センターの田淵貴大副部長は「法的規制でニコチンを含む電子たばこの普及に制約がかかっている日本は、加熱式たばこの普及率が世界でもトップクラスにある。既に全成人の10%は使用体験があると試算されるほどに普及している」と指摘した。

 店舗内を禁煙にした飲食店の中から加熱式たばこに限って喫煙を認める店舗も出てきている事例を紹介し、「加熱式たばこは日本社会に『紙巻きたばこより体への悪影響が少ない』『禁煙していても、加熱式たばこは吸える』などといった誤った認識を広めつつある。加熱式たばこにどう対処すべきか、継続的な観察と並行して議論を続ける必要がある」と訴えた。

 ◇同じ検査法は疑問

 こうした問題提起対し、各地の自治体の禁煙条例制定の際にアドバイスし、シンポジウムの座長を務めた産業医科大学の大和浩教授は「燃焼する煙を吸う紙巻きたばこと、霧状のエアロゾルを吸う加熱式たばこでどのような化学物質がどの程度飛散させているかは、別々の検査法が必要だ。それにもかかわらず、紙巻きたばこと同じ検査法で『飛散物質は少ない』と主張する動きがある」と批判した。

 18年に公布された東京都の受動喫煙防止条例や国の改正健康増進法などでは、加熱式たばこについては専用室を作ればサービスの提供が認められ、狭い喫煙コーナーで喫煙しては自席に戻らなければならない紙巻きたばこと異なる扱いを受けている。

 大和教授は「加熱式たばこのエアロゾルにも有害物質が含まれ、周囲に受動喫煙と同様の問題を引き起こす可能性が高い」と指摘。その上で東京都調布市が定めた「受動喫煙防止に関する基本方針」のように、「喫煙」をたばこが燃焼または加熱して煙または蒸気を発生させることだと定義することが望ましい、訴えた。

 ◇加熱式への誤った認識

 この問題について、産業医科大学の姜英医師は同総会に、17年と18年に九州のある工場で健診時に実施した加熱式たばこの認識と使用状況に関する調査を報告している。同調査の対象者は両年とも約3000人で、調査結果では現在国内で販売されている加熱式たばこ3種の認知度はそれぞれ大幅に上昇した一方、2年続けて回答者の15~20%が「加熱式たばこは禁煙の場所でも使用できる」「加熱式たばこの使用は喫煙と思わない」と誤った認識を示していた。

 大和教授はこの報告にも言及し、「加熱式たばこのユーザーの多くは紙巻きたばこと併用していて、自宅など家族の目にする場では加熱式を使っていることが多いと思われる」と話す。このような状況は、加熱式たばこのエアロゾルにさらされる喫煙者の家族の健康に悪影響を与えることは容易に想定される。「特に影響を受けやすい乳幼児ではぜんそくや中耳炎の原因になることが考えられる」と警鐘を鳴らした。(喜多壮太郎・鈴木豊)

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米大統領、電子たばこ使用料の新設を提案 若年層の使用対策で

米大統領、電子たばこ使用料の新設を提案 若年層の使用対策で

https://jp.reuters.com/article/usa-trump-budget-fda-idJPKBN1QS27C

2019年3月12日

[ワシントン 11日 ロイター] - トランプ米大統領は11日午前に発表された米予算教書に、電子たばこ使用料の新設を盛り込んだ。若年層による同製品の使用を抑制するためで、新たなたばこ製品やニコチン製品に対する米食品医薬品局(FDA)の監視の資金源とする。

予算教書によれば、使用料新設に伴う歳入額は年間で最大1億ドルに達する可能性があるという。

現在、電子たばこに使用料は課されていない。

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セグウェイから電子たばこまで、「残念なテクノロジー」10選

セグウェイから電子たばこまで、「残念なテクノロジー」10選

https://www.technologyreview.jp/s/128535/the-10-worst-technologies-of-the-21st-century/

by MIT Technology Review Editors2019.03.15
過去数十年で登場した「最悪なテクノロジー」のリストを作るのは簡単だと思うかもしれない。しかし、編集部の意見はなかなかまとまらなかった。何がテクノロジーを「悪」にするのだろうか?
結局のところ、立派な目的を達成できなかったり、誤った用途で使えたりしてしまうと、テクノロジーは邪悪なものとなり得る。もっとも便利なテクノロジーは、もっとも危険なものにもなるのだ。たとえば、クルマについて考えてみてほしい。現代世界には必須だが、1年に125万人もの命を奪っている。善意のもとに生まれたテクノロジーが失敗してしまうのは、根本的な欠陥があるからだろうか? または単に時代を先取りし過ぎていたからだろうか?
セグウェイを取り上げてみよう。発明家のディーン・ケーメンは、セグウェイは都市と交通手段を変革するデバイスだと大々的に宣伝した。しかし実際のところは、搭乗者をバカっぽく見せるだけの高価なスクーターだった。ホバーボードも同様に、電池が爆発し始めるまでは大人気だった。しかし、いまとなっては(より小さな)スクーターや(より安全な)電動スケートボードが人気を博している。
もしも、グーグルグラスを開発したのが、グーグルではなく、もっと小さな企業であったら、あれほどまでは叩かれなかっただろう。グーグルはよく分かっていなかったのだ。グーグルグラスを着用した人が、エリートの侵略者のような外観になることを。これもまた、セグウェイやホバーボードと同様、失敗したテクノロジーとまでは言わないが、失敗作ではあった。拡張現実(AR)を採用した眼鏡とヘッドアップ・ディスプレイは、使用者層を現在模索中だ。
善意のもとに生まれたが、実際の問題を解決するどころか、むしろ新しい問題を生み出してしまうテクノロジーもある。電子投票の導入以前は、紙の投票用紙を自動集計していて監査可能な記録を残していた。選挙はいまや、ハッキングに対してより脆弱になっている。
失敗の中には、社会的または政治的問題を、技術的に解決しようとしたものもある。たとえば、新しいガジェットで教育における不平等の解決を目指す試みである「ワン・ラップトップ・パー・チャイルド(子ども1人一人に1台のコンピュータを)」だ。しかし、これは単に早すぎたのではないだろうか?普通に売られているノートPC、タブレット、そして何よりスマホが、発展途上国に急速に普及してきている。
見境のないテクノロジーの使用は私たちを不安にさせる。時にそれは、規制に従っていないことが原因となっている。クリスパー(CRISPR)のような遺伝子編集技術を使えば、いつの日かどんな病気でも治せるようになるのかもしれないが、今はまだクリスパーを人間に用いても安全かどうか分からない。そのため、2018年にクリスパーで誕生した赤ちゃんも、最悪なテクノロジーのリストに含まれる。
テクノロジーに規制が追いついていないことも、私たちを不安にさせる原因となる。誰にも気づかれず、制御されることもなく、人々のデータを共有し、編集するデータ・トラフィッキング(不正取引)は、個人の自由と民主主義そのものを脅かしている。
単に上手く使われなかったテクノロジーもある。暗号通貨は今のところ、ほんの一握りの投機家を富豪にしている一方で、その他の多くの人々を貧しくしている。しかし、その根底にあるブロックチェーン技術は他の分野に変革をもたらす可能性がある。
長所が無いと思われる発明はまだいくつかある。ジュール(Juul)やその他の電子たばこは、喫煙の抑制を目的とした公衆衛生規制の抜け穴を利用して、若者をニコチン依存症にしている。また、プラスチックのコーヒー・ポッド(機械にセットするだけで抽出できるカプセル式のコーヒーのこと)を使えば朝の30秒を節約できるが、リサイクルしづらいゴミを大量に生み出してしまう。自撮り棒に至っては……詳しく述べるまでもないだろう。

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米FDA、フレーバー付き電子たばこのコンビニなどでの販売禁止へ

米FDA、フレーバー付き電子たばこのコンビニなどでの販売禁止へ

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-14/POBWFX6VDKHS01

Anna Edney 2019年3月14日 11:12 JST

一般のたばこやミントおよびメンソール風味の電子たばこは対象外

ミント・メンソール風味の除外は「重大な落ち度」-米国心臓協会

米食品医薬品局(FDA)は13日、たばこ業界を巡る指針(案)を公表。若年層の喫煙問題への対応策として、フレーバー(香料)付き電子たばこの販売制限を図る。こうした規制を優先課題の一つとしてきたゴットリーブFDA長官は数週間後に退任する。

  同指針はコンビニエンスストアやガソリンスタンドなど未成年者がいつでも立ち寄れる小売店でフレーバー付き電子たばこの販売を禁じ、規制を強化する内容。一般のたばこやミントおよびメンソール風味の電子たばこは規制の対象外とした。FDAはこれらのフレーバーは禁煙しようとしている成人をターゲットにしているとの見解。

  これに対し米国心臓協会(AHA)は、ミントおよびメンソールたばこを対象外としたのは「重大な落ち度」だと指摘。同協会の傘下機関による調査では、電子たばこのフレーバーのうちメンソールは10代の若者の間で2番人気であることが示されたと、AHAのナンシー・ブラウン最高経営責任者(CEO)は声明で明らかした。

  この日の米株式市場でたばこ大手アルトリア・グループ株は前日比0.7%高の56.13ドルで終了。

原題:Most Flavored E-Cigarettes to Be Banned From Retail Stores (1)(抜粋)

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若者の電子たばこ利用、米FDAの厳しい対応変わらずー長官辞任後も

若者の電子たばこ利用、米FDAの厳しい対応変わらずー長官辞任後も

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-08/PO10SR6TTDS201

Margaret Talev、Anna Edney 2019年3月8日 12:23 JST

ゴットリーブ長官は「この上なく円満」に辞任する-ホワイトハウス

電子たばこやフレーバーたばこへの対応について疑問広がる

ホワイトハウスは米食品医薬品局(FDA)のスコット・ゴットリーブ長官が辞任することとは関係なく、若者の電子たばこ利用に厳しく臨む米食品医薬品局(FDA)の姿勢を支持するとともに、たばこ製品の規制を強化する方針だ。米政府高官が7日の取材で語った。

  マルバニー大統領首席補佐官代行はインタビューで、同長官が「この上なく円満に」辞任すると指摘。「同氏に関して政権内で政策上の異論があったとは認識していない」とも語った。

  ゴットリーブ長官が約1カ月後に辞任することは5日に伝わり、電子たばこやフレーバー付きたばこなどに新たに厳格な規制を課すという同長官の方針がどうなるか疑問が広がった。

原題:No Letup Seen in Crackdown on Youth Vaping by FDA After Gottlieb(抜粋)

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電子たばこ吸引、10代にとって危険な理由

電子たばこ吸引、10代にとって危険な理由

https://www.cnn.co.jp/fringe/35132614.html

2019.03.09 Sat posted at 19:07 JST

(CNN) 10代のニコチン中毒に関する私たちの知識の大半は、紙巻きたばこから来ている。しかし専門家の間では、電子たばこ吸引にまつわる技術や化学反応により、全く別種の脅威が生じる可能性が指摘されている。

ボストン小児病院のシャロン・レビー医師は、「子どもによる電子たばこの使用は様相が全く異なる」と説明。「ニコチンの送達方法や送達量など、あらゆる変化が重要だ」と話す。

レビー氏のプログラムに参加する電子たばこ常用者の子どもたちは、従来の紙巻きたばこの使用者や大人では滅多に見られない精神症状を呈している。一例を挙げれば、不安が募って集中できない、といった具合だ。

そんな中、多くの高校では電子たばこ吸引が広がっており、米食品医薬品局(FDA)が対策に乗り出す事態に発展した。

電子たばこを巡っては当初、大人の喫煙者にとって害が少ない代替品になるかもしれないと盛んに宣伝されていた。だが、専門家はむしろ若者への影響が大きいと指摘する。背景には電子たばこでのニコチン送達の方法や、子どもの脳の配線と発達の仕方、ガジェット特有の魅力といった要因が絡み合っている。

10代での流行は「予想できた問題」

専門家によると、高濃度の液体ニコチンが入ったカートリッジ1個には、紙巻きたばこ1箱と同量のニコチンが含まれている。

レビー氏は、子どもたちが頭痛や腹痛など「ニコチン中毒そっくり」の症状を訴えることも珍しくないと説明。電子たばこでは従来の紙巻きたばこに比べ、血中ニコチン濃度のピーク値が上昇するのではないかと疑っている。ただし専門家は、人体や脳への影響を理解するには、さらなる研究が必要だとしている。

米ロズウェルパーク包括的がんセンターのマチェイ・ゴニエビチ准教授は「ジュールのような新世代の電子たばこは実際に高濃度のニコチンを送達している。紙巻きたばこよりも高濃度かもしれない」と語る。

昨年の研究では、ニコチン代謝物質「コチニン」の尿内濃度について、電子たばこを使用する若者の場合、10代の喫煙者に関する従来の研究で報告されていた値よりも高いことが判明した。

ゴニエビチ氏によると、電子たばこメーカーは「ニコチンソルト」の生成によりニコチン含有量を増やしている可能性もある。これによりニコチンに特有の不快な味を覆い隠し、人体による吸収を早めているかもしれない。

ニコチンそのものの化学成分だけでなく、電子たばこ会社がリキッドに心地よく甘い風味を加えていることにも批判が向けられている。

一方、電子たばこ大手ジュールは風味について、燃焼式たばこからの切り替えを大人に促すうえで有効な手段だと主張。昨年にはジュール・ラブズの管理責任者アシュリー・グールド氏がCNNの取材に、「若者による使用は全くの驚きだった」と語っていた。

ただ、レビー氏は、10代の間で人気が出るのは「完全に予測できた問題」だと指摘する。

10代の脳はニコチンの影響を受けやすい可能性も

レビー氏によると、こうした現状を受け、ニコチン製品に関する考え方にも変化が出ている。

喫煙は多くの場合、がんなどの身体疾患を引き起こしかねない「医学上の問題」とみられていた。それが今や、電子たばこの使用は精神医学の問題とみなされることが増えている。ニコチンが子どもたちの間で中毒行動を引き起こし、脳の発達の妨げとなっているとの懸念からだ。

南カリフォルニア大学医学部の保健・感情・依存症研究所の責任者、アダム・レベンサル氏は、「若者の脳はニコチン中毒の影響を受けやすいのではないかと懸念されている」と語る。

「快楽や新しい楽しみの追求の背後にある脳の回路は、意思決定や衝動制御、合理的思考を促す回路に比べて発達が早い」

レベンサル氏によると、子どもたちが特に電子たばこの影響を受けやすい背景には、生物学的な要因だけでなく、心理学的な要因もある。仲間うちの同調圧力やストレスにより、依存行動に走る可能性が高まる場合があるという。

ゴニエビチ氏によると、子どもと大人では電子たばこに手を出す理由も異なる傾向にある。大人はたいてい高用量のニコチンを扱える元喫煙者で、不眠や集中力不足といった離脱症状を避けたいという場合が多い。

しかし子どもの場合、電子たばこで初めてニコチンに接するという場合もある。

「ニコチンは強力な化学物質であり、私たちの脳を変えてしまう」(ゴニエビチ氏)

子どもに禁煙させるのは困難

レビー氏によると、プログラムに参加する若者は「ほぼ全員」が電子たばこの使用経験を持っている。ただ、「現象として新しいのは、現在はニコチンしか摂取した経験のない患者が薬物使用プログラムにいることだ」

専門家は、早い段階でニコチン中毒になると、それが紙巻きたばこやドラッグへの入り口になりかねないと懸念している。相手が10代の場合、実証済みの対策法は少ない。

一部の親は医師の指導の下、ニコチンガムなど認可外の禁煙ツールを試している。ただ、レビー氏は、子どもによっては喫煙の合間での「つなぎ」に使う可能性もあるため、落とし穴になりかねないと指摘する。

中毒が進行した場合には薬も重要だが、それだけでは十分でない。子どもには「しっかりとしたカウンセリング」も必要だ。

最終的には、喫煙者に囲まれた状況への対処法を教える必要が出てくる。しかし現実には、大半の子どもは治療後に学校に戻さざるを得ない。学校でトイレに行くと、誰もが電子たばこを使っているのが実情だ。

こうした状況にもかかわらず、子どもや親は多くの場合、危険性に気付いていないようだ。

「いまだに『安全だと思った』『紙巻きたばこに比べれば安全性は高いはず』と言う子どもがいる」とレビー氏。「『紙巻きたばこに比べれば安全』というのでは基準として余りに低い」

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