日米の薬物規制 「危険ドラッグ」「大麻解禁」で関心高まる
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140801/crm14080112200011-n1.htm
2014.8.1 12:20
「薬物」をめぐる議論が、期せずして日本と米国の双方で高まっている。「脱法ドラッグ」に代わる新たな呼称が「危険ドラッグ」になり、そのネーミングセンスが疑問視されるといった話題の一方で、米国では新聞が連邦政府の大麻禁止撤廃を主張。賛否両論の応酬は、酒やたばこも含めた「規制」のあり方自体を問い直すものとなっているようだ。
「安易にもほどがある」。警察庁と厚生労働省が7月22日、「危険ドラッグ」という新呼称を発表すると、ツイッターなどでは違和感の表明が相次いだ。
警視庁が昨年、「振り込め詐欺」の新名称として最優秀作に選んだ「母さん助けて詐欺」に続くものとして、「相変わらずお役所はセンスがない」といった“ため息”が続出。「サービス残業も『危険残業』か『母さん助けて残業』と呼ぼう」といった投げやりなネタも広まる一方で、「これだけ話題になれば、名前を変えた意味は十分にあったのでは」「ダサいネーミングが『格好悪い』って印象になる」と肯定的にとらえる意見も散見された。
危険ドラッグ絡みの事故が相次いだこともあり、新呼称の出来はともかく、新呼称募集など一連の「企画」が問題の周知に一役買ったのは確かなようだ。
◆米紙「大麻」社説に驚き
こうした中、米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は27日、大麻がアルコールやたばこと比べて中毒や依存性が比較的軽いとして、連邦政府は大麻の使用などの禁止を撤廃すべきだ-とする社説を掲載。日本のメディアもニュースとしてこれを報じ、ネットには驚きが広がった。
もちろん、日本では大麻取締法で大麻の所持などが禁じられており、政府はめまいや嘔吐(おうと)、錯乱などの悪影響を引き起こすとして乱用防止活動に取り組んでいる。ただ、海外では医療用や嗜好(しこう)品として大麻の使用を認める国や自治体も出始めており、ネットではこうした海外での現状に改めて注目が集まった。
「大麻よりお酒の方が社会的な害悪になっている。日本はアルコールに甘すぎる」「大麻は日本の社会生活にはなじまない」(ツイッター)
大麻の是非に対する評価はさまざまだが、目立つのは、他国と比較して日本の社会や規制を見つめ直した意見。中には「日本は何でも禁止すればいいって方針で、ほとんどの国民は特に不合理だと思っていないから、こういう議論は出てこない」として、大麻をめぐる議論そのものが「タブー視」されている現状に疑問を呈した声も上がっている。
◆「規制」を形作るもの
「ドラッグやたばこに対する世間の風当たりが強まる中、お酒は、飲酒運転などの行為が問題視されることはあっても、お酒自体が非難されることはない。つくづく、市民権を得たものとそうでないものの扱いの違いを感じる。たばこも以前は市民権を得ていたが…」(ツイッター)
「規制」を形作る大きな要因は、その国の文化や歴史によって醸成された規範意識にほかならず、海外での潮流が必ずしも自国に適しているとはかぎらない。一方、かつて米国が禁酒法で学んだように、過剰な規制は社会の息苦しさや混乱を招きかねない。薬物や大麻をめぐって耳目を集めた今回の一連の出来事は、そのバランスを見極める難しさを知るひとつのきっかけになったのかもしれない。(三)
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